<ラグビー>スコットランドに惜敗。五郎丸抜きの日本の収穫と課題とは?
キックオフ。スクラムハーフの茂野海人とともに、田村は果敢に球を散らす。イングランドのプレミアシップに挑んでいたNO8、アマナキ・レレイ・マフィが、展開中にも、キックカウンターの際にも、果敢に守備の壁に突っ込んだ。グラウンド中盤で相手が反則をすれば、速攻を仕掛けた。「休ませない」というプランは概ね遂行された。 ゲームプラン遂行を支えた要素は、選手個々の経験値だろう。 まずは体格差に劣るなかでも、ぶつかり合いで後手を踏まなかった。コンタクト時に低い姿勢を保つことで、「どの選手に対しても、圧倒はされなかった」とインサイドセンターの立川理道副将。ワールドカップ未経験者の間でもそのセオリーは守られていた。 後半8分、相手フルバックのスチュワート・ホッグが無人のスペースへ駆け込もうとしたところ、ウイングの笹倉康誉が相手の球に手をかけるタックルでノックオンを誘った。立川、プロップの稲垣啓太らも、ランナーとして突進力を誇示できた。 メンバーの多くは、スーパーラグビーやプレミアシップなどでテストマッチクラスの激しい試合を消化。国内リーグでは難しい免疫がついていた。サンウルブスでプレーしているプロップの垣永真之介も、「絶対的な差は感じていない。相手も強かったですけど、(今回のような強度へ)多少の慣れはあった」と認めたものだ。 懸念されたスクラムでも、序盤こそ「故意に崩したから」と反則を取られたが、時間を重ねるごとにレフェリーの判定基準を踏まえて組み方を修正。逆に、相手のペナルティーを誘うようになった。これも英語圏のレフェリングに慣れ、対応してゆく作業に慣れていたからできたのだという。 たとえグラウンド外でのテストマッチへの準備に問題があったとしても選手がグラウンド内で培える心技体の質が高まっていたのだ。リーチと五郎丸の不在を悲しがるファンも多かったろうが、きょうのメンバーはきょうのメンバーなりの底力を示していた。 もちろん、負けに不思議の負けなし。現場が悔やむ課題もある。 通算「16」と多すぎた反則、さらには空中戦のラインアウトである。