「前線国家」となった日本の最前線「小松基地」が持つ重要性
(kana Design Image/shutterstock)
日本政府は2022年12月に「 国家安全保障戦略 」を9年ぶりに改訂し、その動向を特に注目すべき国として中国、北朝鮮、ロシアを挙げた。ロシアの動向については「中国との間で、戦略的な連携を強化してきている。特に、近年は、我が国周辺での中露両国の艦艇による共同航行や爆撃機による共同飛行等の共同演習・訓練を継続的に実施するなど、軍事面での連携が強化されている」(10頁)と指摘し、日本周辺海空域での中ロの軍事的連携が常態化していることを示唆した。 また、北朝鮮は2021年1月の労働党大会で発表した「国防5カ年計画」に基づき日本周辺で弾道ミサイル、巡航ミサイル、極超音速兵器の発射実験を繰り返すなど、戦略・戦術両面でのミサイル開発に邁進している。こうしたことからも、日本にとってこれら3カ国が安全保障上の喫緊の脅威であるとの認識は当然といえよう。 中ロ海軍は、2012年から2022年まで(2018年と2020年を除き)、「海上協力」と呼ばれる合同演習を11回実施している。同演習は地中海・黒海、南シナ海、バルト海などでも実施されたように両国の軍事的連携をグローバルに誇示することを目的とした軍事演習である。但し、第2回のウラジオストク沖をはじめ、4回が日本海やオホーツク海など日本周辺海域で実施された。とくに、2021年10月に日本海で実施された「海上協力2021」の終了後、両国艦艇は津軽海峡を通過して日本周辺海域を航行する「海上共同パトロール」を初めて実施した。「海上共同パトロール」は2022年9月に第2回が実施され、中ロの軍事協力計画に基づき2023年7月に中国人民解放軍北部戦区が日本海で実施した合同演習「北部・連合2023」の終了後に実施された第3回「海上共同パトロール」では、両国艦隊はベーリング海や日本近海の太平洋を経て東シナ海を航行した。
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永田伸吾