「責任問題になったとしても」 アジア杯敗退で森保監督が吐露…心中とV字回復の軌跡【コラム】
GKからの組み立て「代表の舞台でもトライしたい」
11月3日のルヴァンカップ決勝、名古屋グランパス対アルビレックス新潟戦を視察した森保監督は、敗れた新潟のGKを含めた守備ラインからのパスを使った展開にこんな感想を語っている。 「代表の舞台でもトライしたいところですけど、そこはちょっとずつ積み上げてやっていくということと、準備期間の中でやれることは整理していかなければいけないかと思います。でも、捨て玉を少なくする、マイボールを大切にするという、日本人の技術力をどうやって生かしていくかというところは、代表のチーム作りの中でもトライしていきたいと思います」 11月23日の天皇杯後のコメントではこんなことも語っている。 「今やっていることをさらにブラッシュアップして、レベルアップして戦っていかなければ、世界の戦いではより勝つ確率を上げられないと。点は取れていますし、失点は少なくこれていますけど、もっともっと上げていかなければいけないというところは考えていけないかなければいけない。さらに高い志を持って活動しなければいけないかなと思います。まだW杯に出ることは決定したわけではないので、あまり先のことはいつもどおり言いたくないですけど、でも高い志を持ちながら、来年の3月のホーム2試合、まずはバーレン戦に向けて、基準を高く持って最善の準備をしていきたいと思います」 2024年の日本代表はアジアとの戦いだけで終わり、ヨーロッパや南米などとの試合を組み込むことが出来なかった。常に先回りして考えている森保監督のことだから、今年は「高い志」「高い基準」をどう保っていくか集中していたことだろう。アジア杯の時には「コンディション」が「上がってこない」と感じていたが、そのあとは「志」と「基準」を「上げる」ことに腐心したのが2024年だったと言えるだろう。 [著者プロフィール] 森雅史(もり・まさふみ)/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。
森雅史 / Masafumi Mori