『相棒』史上最高の神回は? 冠城亘(反町隆史)編の名作(3)文句なしで傑作…深みのある爽やかなラストとは?
変人だが腕が立つ刑事の杉下右京と、その相棒が事件を解決していくドラマ『相棒』。シリーズは2000年から2024年現在まで、約400話のテレビシリーズを始め、様々なコンテンツで親しまれている。今回は4代目相棒・冠城亘(反町隆史)編の中でも伝説的なエピソードをセレクト。その面白さの真髄に迫る。第3回。(文・Naoki)
シーズン16 目撃しない女(第9話)
本作は“『相棒』らしさと爽やかさを両立させている物語”だ。 キッチンカーでタコライスを販売している新崎芽依に好意を持った冠城は毎週彼女の店へ通うも顔すら覚えてもらえない。 そんな中、芽依がキッチンを借りているスナックのマスターが殺害され彼女は犯人達を目撃する。しかし芽依は“相貌失認”という人の顔を認識できない病気を持っており、犯人達の詳細を伝えきる事は出来ない。 一方、犯人達は事件を目撃しかつ芽依がマスターからデータを預かっていると考えて彼女を襲撃。間一髪冠城が芽依を助けて犯人達も無事に逮捕。事件を機に冠城の顔だけは覚えられる様になった芽依は冠城との再会を約束して岐阜の実家へ戻る。 相貌失認に苦しむ女性を巻き込んだ地面師による殺人事件という『相棒』らしい社会派あり個人の問題ありの見応えのあるエピソードとなっている。そこに冠城亘の恋愛というフックで更に物語が魅力的になっている。 冠城は、何度彼女の店へ足を運んでも覚えもらえずショックを受けるが、彼女をかばって刺されるのも辞さず、身体を張って守りきる姿が素直にカッコいい。そして最後に彼女に顔を覚えてもらえるというゴールは事前にフリが効いている事もあり、爽やかな気分にさせられる。 何でもありだけど社会派寄りという『相棒』らしさはビターエンドになりがちで、ハッピーエンドであっても笑える形で、このような爽やかさは中々出てこない。これを両立させている本エピソードは間違いなく名作であると言える。 (文・Naoki)
Naoki