「は?育児放棄?」「泣かせて放置かよ」責めるだけの夫…魔法少女ならぬ魔法“熟女”が母親を救済!?【作者に聞く】
「めちゃくちゃ刺さりました!」「母親なんだからできて当たり前という考え方は本当に危険ですよね」「私も助けてほしかった」「泣きました」と大きな反響を生んだ作品がある。読者からは「誰だって同じ状況にさらされて追い詰められれば夜叉を生み出してしまう危険性はある、決して他人事と思ってはいけないと思います」という感想や「真実味と厚みを感じる深い作品でした」などの絶賛するコメントが相次いだ。 【漫画】本作を読む そんな話題作の作者は、漫画家の葉夕シオリ(@hayu_shiori)さんだ。「マンガMee新人賞2022年6月期」で準グランプリを受賞し、漫画家としてデビュー。同じ年の11月にマンガMee公開連載コンペ「チャレンジMee2022年10月期」でグランプリを受賞し、「メンヘラうさぎはヤンデレ狼に溺愛される」の連載をスタート、現在も絶賛連載中である。葉夕シオリさんに本作について聞いてみた。 ――本作「ママは愛と正義の味方」を描いたきっかけについて教えてください。 この作品はデビュー前にマンガMeeの新人賞に応募した作品なのですが、当初頭の中にあったのは「お母さんが娘の身代わりに魔法少女になったら!?」というコメディ案だったんです(笑)。そこからお母さんが戦う相手としてふさわしい存在は何かと突き詰めて考えていったところ、虐待しそうになっている別の母親という敵役像ができあがり、「娘の代わりに」というコメディ部分が不要になって今のシリアスストーリーとして考え直しました。 ――本作に込めた思いは? 私自身の母が育児ノイローゼのような状態になっていた時期がありまして。当時は泣きながら、「正義の味方が来てやさしいお母さんに戻してくれないかな」なんて思っていたりしたので、そのころの思いも本作のストーリーに大きく影響していると思います。 そして時を経て私も母親になり、育児のつらい部分に直面することもあり、当時の母の言動を肯定することはできないけれど母なりにつらい思いをしながら必死で戦っていたんだろうな…と思いをはせるようになりました。私自身もどこかで一歩踏み間違えたら危ういのではないか、そして、同じような思いを抱えているお母さんは世間にきっとたくさんいるのではないかとも考えました。そんなお母さんたちの心が少しでも軽くなって、自分の子ともう一度まっすぐ向き合えるきっかけになるお話が描けたらいいなと思って作り上げた作品です。 ――「続きはないんですか?このお話、すごく好きです…!」「続きが読みたいです!!」という読者コメントが多数見受けられましたが…? 続編については、今のところどこで描くというのは決まっていませんが、どういう形であってもリメイクはしたいですね。各登場人物についても読切では描写しきれなかった部分が多々ありますし、もっと掘り下げて描いてみたいなとも思っています。 ――葉夕シオリさんの代表作「メンヘラうさぎはヤンデレ狼に溺愛される」についても少し教えてください。 「ママは愛と正義の味方」は育児ノイローゼで追い詰められたお母さんが立ち直るお話ですが、こちらの作品は恋愛依存体質で生きづらさを抱えている主人公カップルが、愛することと愛されることを知って成長していくお話です。ちょっと時々、愛の重さが行き過ぎてホラーテイストになったりしていますが(笑)。 読者さんの反応も様々で、純愛ものに見えたり、風変わりなカップルのラブコメに見えたり、危ういホラーサスペンスに見えたり…いろいろな楽しみ方をしていただいています。ヒーローの愛士くんの評価も「こんな人に愛されたい」と「怖い」の真っ二つに分かれているので、自分はどっち側かな?と考えてみていただくのも楽しいかもしれません。 ――「メンヘラうさぎはヤンデレ狼に溺愛される」は現在どのような展開を迎えているのでしょうか? 現在もマンガMeeにて連載中です。最終章となる第4章では、ヒーローが幼いころに受けていた虐待のトラウマと向き合いながらヒロインと2人でどうやって親になっていくか葛藤する物語を描いているので『ママは愛と正義の味方』と共通する点も多々あると思います。完結間近なので、読んで応援していただけると幸いです。 本作「ママは愛と正義の味方」には読者から「旦那はぶん殴ってもよかったんじゃない?」「旦那へのイライラの消化不良がすごいんだけど...」「旦那は何のお咎めもなしか…一発殴っていいですかな?」という厳しい意見も寄せられた。ワンオペ育児に悩むママたちだけでなく、パパたちにも見せたい作品である。 取材協力:葉夕シオリ(@hayu_shiori)