【旧統一教会・生長の家・霊友会・立正佼成会ほか】宗教は政治といかに関わってきたのか【2024年最新版】
生長の家と「日本会議」
旧統一教会よりも前に保守勢力を支えた新宗教がある。それが1930年に谷口雅春氏が創設した生長の家だ。『宗教と政治の転轍点』の著書がある文教大学教授の塚田穂高氏が解説する。 「谷口氏は敗戦後の国民を鼓舞して天皇中心のナショナリズムを説き、保守的な政治活動を始めました。'64年には生長の家政治連合を組織し、組織内候補を出馬させたり、自民党候補を支援したりしてきました。ところが、いくらやっても『明治憲法復元』や『優生保護法改正』は実現しない。自民党への不信感などから、'83年には政治活動から撤退しています」 現在、生長の家は保守的で国家主義的な性格から、脱原発や低炭素生活、ジェンダー平等を実践するリベラルな教団へと百八十度転換している。 「しかし、生長の家の谷口総裁の愛国主義的な教えを引き継ぐ一派がいました。彼らが中核となって、現在も続く保守団体『日本会議』が'97年に創設されます。興味深いのは、日本会議には神社本庁などに加えて佛所護念会教団や崇教眞光など、新宗教団体が含まれていることです。新宗教の中にも戦前への復古的な考えを持っている人が存在していて、歴史の流れは断絶していないということなのでしょう」(ジャーナリストの藤倉善郎氏)
宗教団体の抱える「苦しさ」
創価学会という例外を除いて、宗教団体が政治活動をすることはマンパワー的にも資金的にも難しくなっている。 「霊友会は生前の石原慎太郎氏を支援していて、今でも保守色は変わりませんが、活動の力は弱くなってきました。その霊友会から分派した立正佼成会も、以前は積極的に推薦候補の選挙活動を支援していましたが、いまは会長も高齢で活力がなくなっているようです」(前出・小川氏) 新宗教のなかでも珍しく、ほとんど政治と関わらないのが真如苑だ。小川氏が続ける。 「ここ30年で新宗教の各団体は大きく信者数を減らしていますが、真如苑だけはあまり数を減らしていない。そのポイントは政治活動をやっていないことかもしれません。選挙運動に動員されるのは信者にとっては負担ですから、それがないことが、人が離れない理由の一つではないか」 旧統一教会問題で注目が集まった「政治と宗教」の関係。総選挙が終わったばかりのいま、改めて考えてみたい。 「週刊現代」2024年10月26日・11月2日合併号より
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