「低アル飲料」を喜んで飲む人が知らない“真実” むしろ時代によってその基準は変化してきた
■酒類メーカーが推進する「適正飲酒」の不都合な現実 適正飲酒、ソバーキュリアス、スマートドリンキングという言葉を最近、目にすることも多くなった。 【画像】時代によって変わる、低アルの定義 ストロング系缶チューハイ(以下、ストロング系)が猛威を振るっていた時代は終わり、今は「微アルコール(以下、微アル)」と「低アルコール(以下、低アル)」が注目を集めているのだ。 今年に入ってアサヒビールはアルコール度数8%以上の缶チューハイを発売しないと決め、サッポロビールも今後は8%以上の商品については発売しないことを発表した。
そして、ストロング系の代表格ともいえるサントリーの「ストロングゼロ(以下、ストゼロ)」は「-196(イチキューロク)」と名前を変え、アルコール度数4%の商品も登場している。 前回記事ー『「微アルで適正飲酒」推進の裏にある不都合な現実 もはや、メディアに踊らされているにすぎない』ーでは、この現状を筆者は「ストロング系に対するバックラッシュ」だと指摘した。国が総力を上げて、ストロング系の流行に歯止めをかけようとしているのは間違いない。
そこで、微アルが頭角を現していくと同時に、低アルにも再び注目が集まっている。現在、何度目かわからない低アルブームが到来している(と言われている)のだが、過去と現在の共通点、そして異なる部分とはなんだろうか? そして、微アルと低アルが抱える課題とは? ■低アルコールに明確な定義はない 低アルはノンアルコール飲料(以下、ノンアル)と微アルと違い、完全に酒だが、明確な定義は決まっていない。 そんななかで例えばキリンは、アルコール度数1~4%未満を低アル商品と見做している。ということは、今年のヒット商品であるアサヒの「未来のレモンサワー」はアルコール度数が5%あるため、低アルには含まれない。
さて、こうした議論をするなかで抱く疑問が「そもそも、普通のアルコール度数ってどの程度なんだろう?」というものだろう。一般的に、ストロング系は8%以上が目安とされる。また、3~4%は「低アル」扱いをされる。 となると、5~6%が「普通」の度数なのだろうか? 筆者のようなアルコールに強い、元依存症患者からすれば、そんな度数は「水」のようなものだが、アルコールに弱い人にとっては十二分に強い度数にも思えるが……。