「ドドンという音、地震かと」 土砂崩れ、住人と連絡取れず 宮崎
23日午前0時35分ごろ、宮崎県延岡市浦城町で「家が土砂崩れでつぶれ、中に妻が取り残されている」と、住人の三輪保幸さんから119番通報があった。延岡署によると、木造平屋建て住宅が土砂に埋まり、三輪さんの妻の弘美さん(56)と連絡がとれていないという。消防などが捜索活動を続けている。 【写真】土砂崩れが起きた現場付近=2024年10月23日午前9時27分、宮崎県延岡市、星乃勇介撮影 延岡署や消防によると、土砂崩れの原因は前日夜からの集中豪雨の影響とみられる。住居北側の斜面が崩落し、屋根が見えなくなるほど土砂が流れ込んだという。 県内は22日、大雨に見舞われ線状降水帯が発生し、道路の冠水などが相次いだ。気象庁は同日、記録的短時間大雨情報を発表。延岡市付近では午後10時半までに1時間に120ミリ以上の猛烈な雨が降ったとみられるという。 近くに住むパートの岩切幸二さん(67)は「22日は午後10時過ぎから雨の降り方がすごかった。23日午前0時過ぎ、ウトウトしていたらドドンという音がして地震かと思った」と振り返り、「無事であってほしい。早く見つかってほしい」と話していた。 ■平年より高い海水温 季節外れの10月に発生した線状降水帯など、22日に宮崎県に大雨が降った原因の一つは、平年より海水温が高く、これに伴う暖かく湿った空気が流れ込み上空で雨雲が発達したことだった。 気象庁は22日午後3時過ぎ、同県南部平野部で線状降水帯による非常に激しい雨が降り続いているとして、「顕著な大雨に関する情報」を発表。夜には延岡市付近で数年に1度程度しか発生しないような短時間の大雨を観測したことを示す記録的短時間大雨情報を出した。延岡市では23日午前1時までの324.5ミリ、日南市油津で208.5ミリ、都農町で254.5ミリの雨を観測した。 気象庁によると、今年は、夏に勢力を強める太平洋高気圧が10月になっても例年より日本列島付近に張り出しており、九州東部の海上温度は平年値より1~2度高い状態が続いている。その海上を通った暖かく湿った風が九州南部に流れ込んだ一方、対馬海峡付近の低気圧に向かって南西の風も吹き込み、宮崎県付近でぶつかって上昇気流が発生。県南部では次々と雨雲ができる線状降水帯が生じた。 その状況が県北部でも起き、発達した雨雲が延岡市付近にもかかったという。
朝日新聞社