平時の関係づくりを シニア災害ボランティア、和歌山県田辺市でシンポジウム
和歌山県の「シニア災害ボランティアシンポジウム」が25日、田辺市新庄町のビッグ・ユーであった。参加者は災害に備えた平時からの地域づくり、関係づくりの大切さなどについて考えた。 【「災間」意識し行動を 東日本大震災の被災者が和歌山県田辺市で講演の記事はこちら】 大規模な災害が毎年のように発生している。シンポジウムは、少子高齢化が進む中、シニア世代に災害ボランティアの役割を知ってもらおうと企画した。約250人が来場したほか、オンラインでの参加もあった。 災害ボランティアは、被災者の困り事に寄り添うのが役割。目に見える物理的な被害は対処しやすいが、表面に見えにくい被災者のニーズをいかにくみ取るかが求められる。 講演した「にいがた災害ボランティアネットワーク」の李仁鉄理事長は「直接支援の手前、地域の被災者の困り事に気付き、相談に乗れるのが地元のボランティア。本当に苦しい時は自分から『助けて』と声を上げるのが難しい。普段から声かけできる関係をつくってほしい」と呼びかけた。 ボランティア活動をテーマにしたパネルディスカッションには、田辺市古尾自主防災会の松田剛人代表、日本防災士会県支部の早稲田眞廣支部長、田辺市社会福祉協議会の手谷雅樹主任の3人が登壇。県防災ボランティアセンターの南出孝所長の進行で、これまでの活動や課題について語った。 古尾では避難場所で花見会を開催したり、夏祭りで炊き出しをしたりと参加率の高い町内会活動に防災を組み合わせてきた。松田代表は「関係団体と無理なく協働でき、平時から顔の見える関係づくりが進んだ。つながりを絶やさないよう継続したい」と述べた。 早稲田支部長は全国各地で災害ボランティアに参加。「被災者が何を望んでいるかの把握を心がけている。シニアはいつも飲んでいる薬のストックも必要。活動先で迷惑をかけないよう常に用意している」と心構えを語った。 ボランティアセンターで支援活動を支える側の手谷主任は「ボランティアの温かい気持ちにいつも感激する。被災地では日頃からの地域の福祉活動が大事と実感する」と話した。
紀伊民報