「若い選手たちからの主張を求めていた」“ダムズの殿”佐々木貴がFREEDOMS10・10後楽園へ、野望を語る【週刊プロレス】
“ダムズの殿”こと、佐々木貴が手掛ける「殿の野望2024」として開催される、FREEDOMS10・10後楽園大会。 FREEDOMSの杉浦透&葛西純と、大日本の伊東竜二&菊田一美が火花 同大会のメインでは、いよいよ聖地メインという舞台で現FREEDOMSチャンピオンの杉浦透と“デスマッチのカリスマ”葛西純がタッグを組み、大日本プロレスの伊東竜二&菊田一美との団体対抗戦が実現。貴はいかなる野望をこの大会に詰め込んだのか、その意図と展望が大いに語られた。(聞き手・戸井猛道)
――もともとは昨年6月に両国国技館でおこなわれた「ALL TOGETHER」の裏興行として開催したのが、「殿の野望」の発端でしたね。 貴「日程的には1年前に押さえていた新木場大会と同日に両国でALL TOGETHERがおこなわれるとなって、『ALL TOGETHER』とは言いながらも我々には関係ないということがわかっていたので。それだったら通常興行をやるよりも、ALL TOGETHERとは無関係の団体で集まって『オレたちで何かを発信しよう』というところから始まって」 ――大日本、2AWといった団体から選手が集まり、結果的に「裏ALL TOGETHER」として注目を集める大会になりました。 貴「そのときも2AWの若松(大樹)が勝手にウチのリングに上がって主張をしてきて、結果的に大会が終わってみたら若松が一番インパクトを残した。所属もフリーも関係なく、若いヤツらが燃えてくれたという意味では、僕は大成功だったと思っています」 ――今回再び「殿の野望2024」として後楽園で大会が開催されることになったのは、どのような意図があるのでしょうか。 貴「先月に横浜武道館で旗揚げ15周年大会を終えて、また若い人間たちのやりたいことを叶えてやりたいなと。逆にこういう場がないとアピールできないというのもどうかと思うんですけど、今回に限っては僕が知りもしらなかったガンバレ☆プロレスの中村宗達選手から、今どきの形なんでしょうね。X(旧Twitter)を通じての参戦アピールがあって。 それを見たときに『これだ!』と思ったというか。本当にどうなるかもわからないヤツが、会社の許可も取らずに名乗りを上げて。後から団体の方から『ウチの若いのが勝手なことをしてすいません⋯』という謝罪もあったんですが、今のプロレス界ってみんなどんどん行儀よくなってしまっていて。そういうのが僕にとってスゴく面白かったんですね。『今の令和の次代にこんなヤツがいたか!』と。 だからこっちも『絶対本人には伝えないで下さい』と言ってガンバレ☆プロレスの会場に乗り込んで、入場してきた中村が客席の中に僕を見つけてビクッとしたという(笑)。会社の許可を取らずに勝手に行動をするというのは、イチ社会人としてはどうかと思いますけど、プロレスラーである以上、そこから飛び出して行動を起こすというのも僕は大事だと思っているので。 ウチは『FREEDOMS』なので、野望を掲げるのも、言葉にするのも全部自由。でも自由は責任を伴うので、行動を起こした上でカードが組まれたからには、お客さんを熱狂させて、納得させるだけの結果を残してみろというところですよね」 ――その意味では、同大会に参戦する香取貴大選手から、早朝5時に貴さんに電話をかけてのアピールがあったとも伺いました。 貴「先日ベルトを落としましたけど、ダムズジュニアのチャンピオンだった香取から、『他団体でもなんでも、今まで自分が経験したことのない本当の日本トップの人間と闘ってみたい』というのを、朝5時から延々と語られて(苦笑)。眠たい目をこすりながら聞きましたけど、それを叶えるためには今の僕のKFCタッグ王座のパートナーでもあるYAMATOが最高の選手じゃないかなと。 香取はハードコアにも触発されて、『あんなカッコイイことをオレもやってみたい』と言っていたので、そこはYAMATOの気持ちとかは一切考えずにハードコアマッチにして(ニヤリ)。YAMATOもDRAGONGATEのトップ中のトップなので、香取に胸を貸してやってほしいと思いますね」 ――メインでは現・KFCシングル王者の杉浦透選手からの主張で、大日本プロレスとの団体対抗戦が実現となりました。 貴「杉浦から『僕はまだ大日本を経験していないので、体感したい』ということをしきりに言っていたので、それをやっと実現させてやれたのかなと。それを受けてくれた大日本プロレス側にも感謝しますけど、ここから何が生まれていくのか。僕は正直、この試合のキーマンになるのは菊田(一美)だと思っています。 杉浦は伊東竜二とやりたかった、伊東は葛西純に出てこいと宣戦布告した。その中にひとり混ざる形になった菊田が、ただ『大日本がダムズに乗り込むらしいんで、一緒に来ました』くらいの気分だったら、完全に潰されるでしょうね。ここで存在感と結果を残せるか。この試合は正直、彼にかかっていると思います」 ――それぞれの選手の主張と野望が大いに飛び交う大会になりそうですね。 貴「主催者でもあり、プロデューサーの立場でもありますけど、自分自身どの試合が一番盛り上がって、誰がインパクトを残すのかまったく読めない。今回は選手が『こんな試合がやりたい』とブチ上げてきたものをどんどん形にしていったので、その意味では選手が本当にやりたいこと、みなさんに見せたいものを見せてくれると僕は確信しています。 『こういうカードでこういう試合をして下さい』と言われてやるレスラーなんて、僕は面白くないと思う。選手が存分にやれる場を用意したつもりなので、そこで光り輝けなければプロレスラーとしてウソだと思うので。『さあ、勝負だぞ』と。対戦相手だけじゃない、全試合、全レスラー、お客さん、マスコミ、全部含めての勝負。 それをファンの皆さんには、ワクワク楽しみにしながら見に来ていただきたいですね。誰が殿の野望の主役をつかむのか、ぜひ注目して下さい」
週刊プロレス編集部