折れ線型の自閉症と診断された娘。いつか花粉症くらい気軽に「自閉症だよ」と言える世界を目指したい【体験談】
いつか、花粉症くらい気軽に「自分は自閉症だよ」と言える世界に
「自閉症の子どもを育てる親は、しばしば『しつけがなってない』『わがまま』『うるさい』などと言われたり、たとえ直接的に言葉で言われなくてもそういったまなざしを向けられたりすることがあります。私にもその経験がありますが、見た目ではわかりにくい障害だからこそ悩むこともあると思います。でも、そんな親御さんたちに伝えたいのは、理解してくれる人は必ずいるということです。今はそう思えないという方も、どうか諦めないでほしいです。 昔は、理解してもらえないと諦めていた時期が自分にもありましたが、最近は飲食店に行ったときに『子どもが自閉症なので、できれば端の席にしてもらえませんか? 』と伝えることもあります。もちろん、すべての人やお店が受け入れてくれるわけではありませんが、私たちのような家族を受け入れてくれる場所は必ずあって。少なくとも愛鈴のことを知ってくれている方たちには、理解してもらえているなと感じます。だから、自分たちは社会に取り残されていると思わないでほしい。 でも、自閉症の当事者やご家族の方に『頑張って』と私は言えません。『頑張って』という言葉は逆に負担になってしまうこともあるので…。だから代わりに、『一緒に子育てしよう』と声をかけたいです。 ゆくゆくは、自閉症と診断されたときにショックを受ける人が世の中からいなくなることが理想です。そのためには、まず世間から自閉症のマイナスなイメージがなくならないといけません。私にできるのは小さなことかもしれませんが、そういう世の中にちょっとでも近づくように、だれかの役に立てるように、これからも自閉症の子どもたちとの暮らしや育児の楽しさをポジティブに発信していこうと思っています。 いつか花粉症くらいの認知度になってくれたら。そして、花粉症くらい気軽に『自分は自閉症だよ』と言える世界になったらいいなと思います」(平山さん) お話・写真提供/平山愛理さん 取材・文/仲島ちひろ、たまひよONLINE編集部 子育てに悩んだ時期を、家族や周囲の支えによって乗り越えてきた平山さん。現在は自閉症の当事者やその家族を支える側(がわ)として、さまざまな活動に取り組んでいます。ネットやSNSが普及し「自閉症」という名前は認知されるようになっても、その特性やどのように行動すればいいかまではまだ一般的にあまり知られていません。私たち1人ひとりが関心を持ち、理解し、行動が変わることで、だれもが生きやすい社会への一歩につながるはずです。 「 #たまひよ家族を考える 」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることをめざしてさまざまな課題を取材し、発信していきます。
平山愛理さん
PROFILE 自閉症スペクトラム障害の当事者やその家族を支援するボランティア団体「みんなのわ いっぽいっぽ」を立ち上げ、長崎県佐世保市を拠点に活動中。YouTubeチャンネル「あられちゃんねる」やインスタグラムで子どもたちとの暮らしを発信している。 ■あられちゃんねる YouTube @aralechannel24 ●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。 ●記事の内容は2024年8月の情報で、現在と異なる場合があります。
たまひよ ONLINE編集部