森村泰昌とシンディ・シャーマンの2人展、「仮面の舞踏」が香港のM+で開催へ
香港のM+で、森村泰昌とシンディ・シャーマンの2人展「仮面の舞踏」が12月14日から開催される。 森村泰昌は、写真、映画、パフォーマンスなどのメディアを駆使して表現を行っている現代アーティスト。大阪のアートシーンに登場した彼は、関西ニューウェーブの一環として、西日本の若手アーティストたちとともに新しいメディアや表現方法を模索してきた。その作品は、美術史の重要な作品や歴史的シーン、そしてマスメディアの有名人に自身を重ね合わせ、精巧な小道具やデジタル加工を駆使して、アイデンティティや著作権、そして日本、アジア、そして西洋の複雑な関係を探るものだ。 いっぽう、シンディ・シャーマンは、過去半世紀でもっとも影響力のあるアーティストのひとりとして知られる。1970年代後半の「ピクチャーズ・ジェネレーション」と呼ばれるグループで注目を浴びたシャーマンは、メディア文化を批判的に分析し、映画、ファッション雑誌、美術史、そして最近ではソーシャルメディアに触発されたキャラクターを自ら演じることで、女性のステレオタイプに関する問題を提起した。その初期作品は、ハリウッド映画やヨーロッパ映画における性別に基づいた役割を風刺し、制作過程のメカニズムを明らかにした。近年は、階級や加齢に関連する問題を探求し、演劇的効果や写真技法、デジタル技術を駆使した作品を生み出している。 本展は、両者の写真作品が初めて一堂に会するもの。「仮面の舞踏(Masquerade)」とは、衣装、メイク、道具、そして身体の言葉を用いて一時的に別の人物になる行為を指す。本展では、時間、場所、文化を超えてアイデンティティを再考するふたりのアーティストの「仮面」を使った表現を紹介し、彼らの初期の代表的なシリーズを通し、それぞれの文化的背景や文脈における仮面の使い方がどのように発展してきたのかを追う。 本展について森村は、「シンディ・シャーマンとともにM+で展示されることは非常に素晴らしい機会です。私たちのアプローチは異なりますが、どちらもアイデンティティと表現についての考察を深めています。異なる文化的背景から生まれた私たちの作品が、香港というダイナミックな都市でどのように響くのかを楽しみにしています」(原文は英語)とコメントしている。 いっぽう、シャーマンは次のように語っている。「森村泰昌とともにM+で作品を展示できることを大変嬉しく思います。私たちはアイデンティティやメディア文化を異なる方法で探求していますが、香港の観客がどのように私たちの作品を解釈するのかを見るのが楽しみです」。