おせちの中身にはそれぞれどんな意味がある?10品分を紹介!【年末から年始のマナー】
華やかにお正月の食卓を彩るおせち。黒豆や数の子、紅白のかまぼこなど、多彩な料理が並びますが、これらは適当に重箱に詰めてよいわけではないんです。その順番、きちんと知っていますか? それぞれの料理に込められた願いや意味も、しっかり押えているでしょうか? 心許ない人のために、「現代礼法研究所」主宰の岩下宣子先生に解説してもらいました。 【マンガで確認】大掃除終わってないけど…しめ飾り飾っていい? ■一の重にはおせちの代表でもある祝い肴を おせち料理は、「めでたさを重ねる」という意味で縁起をかつぎ、重箱に詰めるのが習わしです。 本来は五段重ねの重箱を使うのが正式で、各重箱に詰める料理にも決まりがあります。 一の重:祝い肴(黒豆・田作り・数の子)、昆布巻など 二の重:口取り肴(栗きんとん、かまぼこ、伊達巻き)、酢の物など 三の重:鯛やブリ、海老などの海川の幸を使った焼きもの 与の重:サトイモやレンコンなど山の幸を使ったお煮しめ 五の重:年神様からの福を詰める場所として空にしておく。料理が足りなくなった場合に備え、補充用のものを入れておく場合もあり お重の中身には縁起の良い意味や願いが込められているので、代表的なものを紹介しておきましょう。 <黒豆> 「まめに働き元気に暮らせるように」という意味で、一年の無病息災の願いが込められています。また、黒色は邪気をはらい災いを防ぐ魔除けの色とされていて、不老長寿をもたらすという意味も。 <田作り> カタクチイワシの稚魚を素干しにしたもので、「ごまめ」とも呼ばれます。「五万米」と当て字をして縁起をかつぎ、五穀豊穣を祈願しています。 <たたきゴボウ> 関西では、黒豆・数の子・たたきゴボウが祝い肴とされ、地中に根を張ることから、「家の土台がしっかりするように」という願いが込められています。 ほかにも、 数の子:たくさんの卵があることから「子孫繁栄」を祈願 昆布巻:「こぶ」の語呂合わせで「喜ぶ」に。巻は「結び」を意味する縁起物 海老:「腰が曲がるまで」という長寿の願いが込められ、赤は魔除けの色でもある 伊達巻き:形が書物に似ていることから「知恵が増える」ことにつながる きんとん:漢字で「金団」と書き、黄金色の財宝をイメージした金運上昇の縁起物 紅白かまぼこ:赤は魔除け、白は清浄を意味する 紅白なます:「お祝いの水引き」をイメージした、一家の平和への願いがこもる このように、それぞれの料理にはおめでたい意味が込められています。 「日本は、言葉にはパワーが宿ると考えている言霊の国。料理一つひとつに込められた意味を知ると、ありがたみが増して、力が生まれてくると思います」(岩下先生) *** 意味を知っているほうが、お料理の味わいも深くなりますよね。重箱を開けるときの楽しみも、より増してくる気がします。「今年もいい年になるように」という願いを込めながら、みんなで楽しくおせち料理をいただきましょう。 教えてくれたのは… ▶岩下宣子先生 「現代礼法研究所」主宰。NPOマナー教育サポート協会理事・相談役。30歳からマナーの勉強を始め、全日本作法会の故・内田宗輝氏、小笠原流・故小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学ぶ。現在はマナーデザイナーとして、企業、学校、公共団体などで指導や研修、講演会を行う。『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(中経の文庫)、『相手のことを思いやるちょっとした心くばり』(三笠書房)など著書多数。近著に『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』(主婦の友社)。 文=高梨奈々