イスラエル首相、ガラント国防相を解任 ガザ紛争巡る政権と軍の間の分裂を反映
イスラエルのネタニヤフ首相は5日、ガザなどでの紛争が続く中、ガラント国防相を解任した。同首相は、ガラント氏への信頼を失ったためだとしている。 ネタニヤフ首相はビデオ声明の中で、自分とガラント氏の間に進行中の軍事作戦の管理を巡って隔たりが生じていると述べた。そのうえで両者の対立は周知の事実となり、敵もまたそれを利用していると指摘した。 この発表を受けて、街頭では市民による抗議デモが起きた。抗議に参加した人々の多くは、かつて同じようなデモを行った。ネタニヤフ氏は昨年ガザ紛争が始まる前にもガラント氏解任を試みたが、数十万人のデモ隊の反発にあい、決定を撤回していた。 ガラント氏はXに短い声明を投稿し、「イスラエル国家の安全保障は私の人生の使命であり、これからもずっとそうあり続けるだろう」と述べた。 元海軍特殊部隊員のガラント氏は、イスラエル軍最高幹部の1人にまで上り詰めた。 2023年10月7日にイスラム過激派ハマスによる奇襲攻撃が起きて以来、ネタニヤフ戦時内閣において重要な役割を果たしてきた。 ガラント氏は戦闘が始まって以来、黒い服ばかり着用。ハマスにとらわれた人質をわが子のように感じると語っていた。開戦直後、ガラント氏はガザが支払う代償について「数世代にわたって現実を変えることになる」と警告。この戦争は「人間の皮をまとった獣」との戦いだと述べた。 ネタニヤフ氏とガラント氏の間では数カ月にわたって公然と対立が続いていた。これはイスラエル右派連立政権と軍の間に広がる分裂を反映している。軍とガラント氏はかねてから、戦闘を終わらせ、ハマスに拘束されている多数の人質を帰国させるための合意に達することを望んでいた。 ガラント氏が戦争には明確な方向性が欠けていると指摘する一方、ネタニヤフ首相はガザの統治組織および軍事力としてのハマスが壊滅するまで戦闘は終結しないと改めて強調した。 イスラエル首相府は声明で、ガラント氏の後任としてカッツ外相が国防相に就任すると発表した。