「かつてなく厳しい」公明、来夏の東京都議選に危機感 刷新感なき斉藤鉄夫代表への交代
公明党の新代表に斉藤鉄夫前国土交通相(72)が選ばれた。先の衆院選で落選した石井啓一前代表(66)の後任だが、斉藤氏は9月まで代表だった山口那津男氏と同じ年齢で、刷新感は乏しい。来年には、党が国政選挙並みに重視する東京都議選が迫るが、党勢の退潮ムードを変えることができず、公明都議は「かつてないほど厳しい選挙になる」と危機感を募らせる。 【写真で比較】今度はズボンきっちりで「ちゃんと撮れてる!」。第2次石破内閣(上)と第1次石破内閣(下) ■東京に縁薄い高齢新代表 「来年夏には、都議選と参院選が行われる。次は勝つ、必ず勝つと決め、どんな困難な状況も乗り越えて、断じて勝利しようではないか。全議員が一致結束し、国民の皆様から信頼される公明党の構築を目指す」 斉藤氏は9日、新代表に決まった臨時党大会でこう強調。先の衆院選で敗北した理由を、自民党の「政治とカネ」問題の逆風としつつ、「それを押し返すだけの党の独自性や公明党らしさを十分に発揮できなかった」とも指摘し、物価高に見合うだけの賃上げや中小企業の生産性向上などに力を注ぐ考えを示した。 だが、党勢立て直しへの道のりは険しい。次の都議選は斉藤氏の求心力が問われる最初の大型選挙にもなる。党は今回も「全員当選」を掲げるが、都議選出馬予定の公明都議は衆院選の敗因を踏まえ、こう嘆息を漏らす。 「衆院選は、自民が『政治とカネ』問題で非公認とした候補らに公明が推薦を出したことが大きく影響した。都議選は国政選挙と違うが、衆院選で示された民意を考えると、これまでにないほど厳しい選挙になる」 今回の衆院選で、公明は全国の比例代表の総得票数について、前回の令和3年衆院選比で114万票減となる596万票まで落とした。比例東京ブロックに限っても、得票数は57万票にとどまり、前回から10万票以上減らしている。かねて問題視される党員の高齢化だけでなく、自民の「政治とカネ」問題に党執行部が甘い対応をしたとの批判が、党員や支持者の運動力を削いだとの指摘が多い。 党内には、世代交代を図る党方針に逆行する形となった代表人事への不安感も漂う。公明都議は、ベテランの斉藤氏に決めたのは「党運営の安定を重視した判断だろう」と理解を示しながらも、「都議選で有権者が期待する『党の刷新』というイメージは薄い」と言い切る。