「かつてなく厳しい」公明、来夏の東京都議選に危機感 刷新感なき斉藤鉄夫代表への交代
斉藤氏は衆院広島3区選出だ。参院東京選挙区を地盤とした山口氏と違い、東京との縁が薄いことへの懸念がくすぶる。別の公明都議は「衆院東京29区で勝利し、新代表として取り沙汰されていた岡本三成政調会長(59)の方が都議選での知名度もあり、有権者に『党は変わった』という刷新イメージを有権者に与えられたのに…」とこぼす。
■目標を1減も…
今回の党人事では、竹谷とし子参院議員(55)=東京選挙区=が代表代行に抜擢された。東京にゆかりを持つ竹谷、岡本両氏が都議選の先頭に立って刷新感を演出し、斉藤氏をカバーしようという思惑がにじむ。
厳しい情勢を見越してか、都議会で現在23議席を確保している公明は、都議選の目標を1減の「22議席死守」に修正した。30年以上(党関係者)にわたり、維持してきた23議席のうち1議席をみすみす他党に譲る決断をしたわけだ。
公明が擁立を見送る目黒区選挙区は、都議選のたびに「最激戦区」として接戦を演じてきた。党関係者によると、目黒の候補者擁立は7月の都知事選後に、取り下げとなったという。
衆院選で議席を増やした国民民主党やれいわ新選組など新興勢力の動向も懸念材料だ。無党派層が多い都心部は「風」に左右されやすい。特に、政策の打ち出し方や党の顏を中心としたイメージ戦略、いわば「空中戦」がカギを握る。
さらに、根源的な問題として、公明の支持母体の創価学会員の高齢化が、組織力を武器としてきた公明の足腰を弱めている面は否めない。
公明都議は、住民の移り変わりが激しい東京では、SNSなどの普及も影響し、「街頭演説などで常に顔の見える人を選ぶ選挙スタイルが通用しない部分が多くなっている」とも語る。
都議選まで約半年に迫ったが、選挙戦略の見直しを含め、党勢立て直しへの課題は山積している。野党勢力が躍進し、公明の埋没が進めば、都議選の「全員当選」の目標にも黄信号が灯りかねない。(植木裕香子)