東京超え...さらなる高みへ パラ代表内定、福島県の橋本、佐々木
さらなる高みへ―。パリ・パラリンピック日本代表に内定した車いすラグビーの橋本勝也(22)=日興アセットマネジメント、田村高卒=とパラ陸上の佐々木真菜(26)=東邦銀行、県立盲学校高等部卒。ともに東京大会を経験し、たくましさが増した2人が目指すのは、"東京超え"の活躍だ。(佐藤智哉)
橋本、自信と力磨き金メダル目標
「最高の舞台で最高のパフォーマンスをして、最高の色のメダルを持ち帰りたい」。橋本は6月に東京都内で取材に応じ、パラリンピックへの強い思いを語っていた。 東京大会にはチーム最年少の19歳でメンバー入りした。初舞台にして銅メダルを獲得したが、出場時間はチーム最少に終わり、大会後には大きな悔しさが残った。3位決定戦に勝利した後、代表で絶対的エースの池崎大輔は橋本にこう言ったという。「悔しかっただろ。俺らは待っているから、はい上がってこい」。その言葉は「忘れもしない」と19歳の胸に刺さった。 覚悟を決め、当時勤めていた三春町役場を2022年3月で退職。「次のパリまで3年しかない。後悔のない選択を選んだ」と競技に専念できるアスリート雇用の企業に転職した。 平日は個人でトレーニングし、金、土、日曜日は同町から自ら障害者用の車を運転して都内に向かい、関東の選手たちと練習する日々を送った。「うまくなるためだったら時間をいとわない」。東京と福島を何度も往復しながら自信と力をつけ、代表でも出場時間を延ばし「次世代のエース」と呼ばれるまでに成長した。 「今持っている才能を磨き上げて、パリに向けてしっかり調整していく。結果はおのずと付いてくるはずだ」と語っていた橋本。パリで輝く準備はできている。
佐々木、悲願の表彰台攻めの走りを
東京大会で7位入賞だった佐々木は、かねてから「パリでは表彰台に立ちたい」とメダルへの強い思いを口にしてきた。 世界と戦うために取り組んできたのが、前半のスピードの強化だ。後半の粘り強さが持ち味の佐々木だが「世界で表彰台を狙うには、前半から攻めないと勝負にならないところがある」と指摘。5月に神戸市で行われたパラ陸上の世界選手権では、タイムこそ59秒28と目標の57秒台には届かなかったが、200メートルまで競ったレースを展開し、攻めた走りを見せていた。 一方、世界パラでは、自身の身長154センチより大きい170センチ超えの海外選手が目立った。レース後、「周りは身長が高い選手ばかり...」と漏らす佐々木に対し、激励に訪れていたアテネ五輪女子マラソン金メダリストの野口みずきさんが反応。「私は身長150センチで金メダルだよ。大丈夫、頑張って」とエールを受け、大きな力に変えた。 佐々木は1日、東邦銀行を通じて「パリでは前回大会よりも良い結果を出すことが目標」とのコメントを発表した。「ハイレベルな試合になると思うので、少しでも世界のトップレベルの選手と競えるように技術を磨き、スピードと持久力を強化していく」とし、表彰台への道筋を描いた。
福島民友新聞