なぜ設楽悠太は東京マラソンで日本新記録を樹立し1億円をゲットできたのか
日本実業団連合は日本記録を樹立した選手に1億円の報奨金をだすマラソン強化プロジェクトを実施しており、設楽は1億円をゲット。他にも大会の賞金として400万円(2位)、タイムボーナスで500万円(日本記録)を獲得したことになる。 レースを見つめた瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは、「やっとこれで日本のマラソンがスタート地点についた。日本記録はめでたいですけど、まだまだ世界記録とは3分以上の差がある。でも日本記録が誕生したことで、大迫君も2時間5分台を出してやろうという気持ちになったと思います。そういう競争意識が芽生えてくれば、日本人も5分台は当たり前、4分台も見えてくるんじゃないでしょうか」と大喜びだ った。 河野匡長距離・ マラソンディレクターは、「昨年も設楽君と井上君は同じようなシチュエーションで戦いました。今回は井上君が日本記録を出そうという意識でやったことが、設楽君の力を引き出したと思います」と好敵手となった井上の走りも評価した。 設楽は昨年9月にチェコでハーフマラソンの日本記録を10年ぶりに塗り替える1時間0分17秒を樹立(1週間前には10kmレースにも出場)。その1週間後のベルリンマラソンでは2時間9分03秒の自己ベストで6位に食い込んでいる。日本マラソン界の常識でいうと、ハーフマラソンで日本記録をマークした1週間後に、フルマラソンでも好タイムを残すことは考えられなかった。不可能を可能にしたのが、疲労の蓄積が少ないといわれる、ナイキの厚底シューズだ。設楽は昨年9月から、ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%を履いて、連戦でも快走を続けている。新シューズが登場したタイミングも設楽にとって絶妙だった。 2018年はニューイヤー駅伝4区で区間2位の井上に34秒差をつけて区間賞を獲得。1月21日の都道府県駅伝では最終7区でぶっちぎりの区間賞を奪い、優勝ゴールに飛び込んだ。 2月4日の丸亀ハーフマラソンは悪条件のなかで1時間1分13秒の2位(日本人トップ)。2月11日の唐津10マイルも完勝した。いずれもナイキの厚底シューズを履いて、「全力」で突っ走っている。