無医師の島の島民に医療を 埼玉・入間の梱包材メーカー 海外拠点のあるフィリピンで「恩返し」の医療支援 新たに診療所を開設
無医師の島の島民に医療を提供しようと、梱包材を開発・製造する「カネパッケージ」(本社・埼玉県入間市、金坂良一社長)が、フィリピン・セブ州のオランゴ島にヘルスケアセンターを新設した。9月28日、現地で島民や関係者が出席し、開所セレモニーが行われた。同社は社会貢献活動の一環として、今後も同センターの運営を支援していく。 過去にフィリピンで行った医療支援の様子【写真1枚】 オランゴ島は、人気リゾート地セブ島の周囲に点在する離島の一つ。島には医師がおらず、病気やけがなどで診療を受けたい場合は船で島外の病院へ行かなければならなかった。 カネパッケージは、1996年にフィリピン社を設立。現在、六つの工場が稼働し、海外事業の拠点になっている。同社は、海外地域でお世話になった人々への恩返しとして、学校や幼稚園、保育園の建設など、社会貢献活動に取り組んできた。今回のセンター新設もそうした活動の一環。 ヘルスケアセンターは2階建て。開所直後は11人の医師がボランティアで参加し、2日間で約600人が診察や治療を受けた。同社は医療機器の提供やボランティアの滞在費、医薬品などの運営費の支援を行った。今後は、週1、2回の頻度でボランティアの医師が派遣され、医療機器の整備や医師の雇用などを行いサービスを向上させる予定だ。
金坂社長は、「島民が痛みを我慢して亡くなったり、治療を受けられずに寝たきりになってしまう現状があった」と説明。昨年11月には、医師45人でオランゴ島など3カ所を回る医療ボランティアを実施、約2100人の診察に当たったという。「島民の皆さんに喜んでいただいた。若いドクターが経験を積み、育つ場にもなれば」と金坂社長。 また、2009年から二酸化炭素(CO2)削減への取り組みとして、離島でマングローブの植林を行っている。金坂社長は「地球環境をよくしようとして始まった輪が、どんどん広がって、地域の皆さんに恩返しができた」と語った。