巨人・甲斐拓也、背番号「10」阿部魂継承 『司令塔に』憧れ指揮官の熱い言葉でG入り決断
ソフトバンクから国内フリーエージェント(FA)権を行使し、巨人に移籍した甲斐拓也捕手(32)が26日、東京都内のホテルで入団会見を行った。5年契約の総額15億円で、背番号は阿部慎之助監督(45)が現役時代につけていた10に決定。移籍を決断した理由に、憧れの捕手だった阿部監督の存在を挙げた。金メダルを獲得した2021年東京五輪日本代表のチームメートで、楽天から巨人へ入団する田中将大投手(36)とのタッグ結成を心待ちにした。 チームカラーのオレンジ色のネクタイを締め、並々ならぬ覚悟をにじませた。伝統球団の一員となった甲斐が、新天地で迎えた晴れ舞台で決意表明した。 「(オファーは)本当に光栄なこと。もう一度、野球選手として新たにここからスタートするという気持ち。阿部監督を胴上げするために一生懸命、頑張っていきたい」 〝甲斐キャノン〟と呼ばれる強肩で、4年ぶりのパ・リーグ制覇に貢献した球界屈指の捕手は、5年総額15億円の大型契約で入団に合意。ソフトバンクから4年契約で残留を求められていたが、約1カ月の熟考の末、移籍を決断した。 揺れ動く気持ちを固める決め手となったのは、阿部監督の熱意だった。交渉の席で指揮官から「グラウンド上では捕手は監督なんだと。そういった役割であり、司令塔としてやってもらいたいし、(自身が現役時代につけた)背番号10も受け継いでほしい」と伝えられたという。背番号10のユニホームに袖を通し、阿部監督の横で笑顔でポーズを決めた。 4度の日本一を経験し、不動の地位を築く32歳のベテランがFA宣言した理由に、捕手として成長できる環境を追い求めていたことがある。幼少期に憧れた同じ捕手の阿部監督からの熱烈なラブコールに「ものすごくうれしい言葉でもあり、重くのしかかる言葉でもあった」と引き締まった表情で期待の大きさをかみしめた。 金メダルバッテリーが結成される。前日25日に入団会見を行った日米通算197勝の田中将とは、金メダルを獲得した2021年東京五輪でチームメートだった。「東京五輪で一緒のチームでやらせていただいて、会話もさせていただいた。いろんな話を聞いて、捕手としてもいろんなものを吸収したい」。パ・リーグで一時代を築いた両雄が来季巨人でタッグを組み、12年以来13年ぶりの日本一を目指す。 「(巨人は)やっぱり勝たないといけないチーム。捕手として一番はチームが勝つこと」と甲斐。黄金時代を支えた指揮官の背番号10を継承し、阿部巨人をリーグ連覇、日本一へと導く。(樋口航)