動物行動学のプロが飼い犬に実践した「言葉を理解できる犬」に必要な4つのコマンド
好きなものと嫌いなものを真っ先に覚える
これは犬に限ったことではありませんが、どの動物も好きなものと嫌いなものの名前を真っ先に覚えます。 ごはん、おやつ、散歩、遊ぶなど、嬉しいことに関係した言葉は、教えたことがなくても、自然と覚えていませんか。 反対に「病院」とか「注射」とか「お風呂」などは嫌がる子が多いので、家族の会話の中に「お風呂」「注射」というワードが出てくると、隠れたりする子もいます。 嫌いな言葉は、聞くだけでイヤな気分になるのです。 だから、楽しい言葉をたくさん聞かせて、たくさん覚えさせましょう。嬉しくなる言葉をたくさん知っていると、言葉を聞くだけで嬉しい気持ちになります。 私も子どもの頃、「夏休み」や「家族旅行」や「外食」という話になると、始まる前からワクワクしたものです。犬も同じです。 たとえば散歩以外に、「リード」と言う言葉を知っている犬は、「リード持ってきて」と言われるだけで、嬉しくなります。「リード」をつける前に「おすわり」ができる犬は、「リード」「おすわり」と言われると、「いよいよお散歩の時間だ」と、ウキウキした気持ちでいっぱいになれます。散歩の時間だけじゃなく、「リード」の段階からずっと楽しい時間が続くのです。 そうやっていつでも楽しい気分でいられる犬は、機嫌もよく、満たされていて、飼い主さんへの信頼が高まります。 犬が飼い主を信頼するとは、飼い主の言うことを正しいと信じて、言うことをよく聞くことです。そうなれば私たち飼い主も犬を信頼できますから、外出先や旅行などにでも連れていけます。 旅行先などで周囲の状況が変わっても、犬は飼い主の言葉を頼りに推測でき、落ち着いて行動ができる。犬が言葉を覚えることは、お互いにいいことづくしなのです。
最初におしえる4つのコマンド
言葉を教えるトレーニングは、まず自分の名前から覚えさせます。 名前を呼んで、振り向いたり、近づいてきたら、「えらいね~」と褒める。 褒められたり、撫でてもらえると、嬉しくて早く覚えると思います。 名前を覚えたら、いよいよコマンドです。 私が思う最も重要なコマンドは、「おいで」「おすわり」「待て」「ふせ」の4つです。 仔犬でも覚えやすく、しっかりできるようになれば犬の行動を制御でき、トラブルも防げる、一生使えるコマンドです。 まず「おいで」は、「オレオ、おいで」と名前を呼びながら声掛けします。すぐ気が散ってしまう仔には、フードを使いましょう。 犬の気分で来たり、飼い主を付け回してもあげてはダメです。名前を呼んで、来た時だけあげると、だんだんと「呼ばれる」「行く」「もらえる」と覚えます。 できるようになってきたら、何かしている時に声を掛けてみましょう。チャイムの音で吠えている時や、ドッグランで興奮気味で走り回っている時でも、「おいで」と呼ぶと、走ってこちらに来るくらいまでになるといいですね。 次の「おすわり」は犬がやってきたタイミングで教えます。「おすわり」と言いながら、フードを頭の上に持っていくと、犬はフードを見上げ、自然とおしりをつきます。その瞬間に、「おすわり、えらいね」と言いながらごほうびをあげる。 座った瞬間に「おすわり」と声掛けするのを忘れないでください。 「おいで」と「おすわり」、最初はこの2つを徹底して教えましょう。 両方をいつでも必ずできるようになったら、次は「待て」。手の平にフードをのせて、食べようとしたら「待て」と言いながらそれを隠します。 そうすると犬は食べられないので、「え?」と飼い主の顔を見上げるはず。 そうしたら「待てよ」と言って手のひらを広げてフードを見せる。鼻を近づけてきたら、もう一回「待て」と言って隠す。これを繰り返すと、「待て」は食べられない、と理解するようになります。最後は「よし」と言って、必ずフードをあげてくださいね。 「待て」と「よし」は、このように同時に教えます。 「ふせ」は少し難易度があがるので、次回にとっておくことにしましょう。