【特集】「妻は認知症」 “認知症カフェ”で見つけた居場所 夫婦の日常から見えてきた必要なサポートとは 《新潟》
妻は認知症 高齢夫婦が通う「認知症カフェ」
うすむらさき色に染まっていく指先に笑顔がはじけます。 新潟市中央区にある「オレンジカフェしもまち」。 認知症の患者やその家族、地域の人が集まり、月に1度悩みや情報を共有する「認知症カフェ」です。 ここに1年半ほど通っている井上秋江さん……アルツハイマー型の認知症を患っています。
手を取り合って50年 3年前に妻に変化がー
1973年に結婚した浩さんと秋江さん。 ともに笑い、ともに泣き、常に手を取り合って50年間歩んできました。 しかし3年ほど前から秋江さんに変化が…… その日の「日付け」が分からなくなることが増え、一緒に認知症の検査を受けたところ、秋江さんは初期のアルツハイマー型認知症であることが分かりました。 夫・浩さん 「日にちや時間の感覚が一番先に失われるのが特徴。その兆候は見られる。「きょう何日だ?」と何度も聞いたりする。時間の感覚がなくて、朝食・ 昼食・夕食の感覚がない。そうなると家事ができない」 記憶障害や判断力の低下などの症状がでるアルツハイマー型認知症。 現在の医療では薬で進行を遅らせることが主な治療法とされています。 認知症と診断されてからは、秋江さんに代わって浩さんが家事を行っています。
2030年 高齢者の7人に1人認知症か
厚生労働省の研究によると、おととし2022年時点で認知症の患者は443万人。 患者の割合が今後も一定であると仮定すると、2030年には523万人を超え、65歳以上の7人に1人が認知症になると推計されています。
全国では認知症をめぐり事件・事故も―
こうした中ー 6月5日、物件の購入をめぐり、東京都内に住む認知症の80代の女性が1600万円をだまし取られる事件が発生しました。 また、ことし2月には、神奈川県で認知症の疑いがある70代男性が線路に立ち入り、列車が運転を見合わせるなど、認知症をめぐる事件や事故が相次いでいます。
認知症の診断後 家にこもりがちになった妻
3年前、認知症と診断された秋江さん。 当時大きなショックを受けていたといいます。 夫・浩さん 「秋江はしょっちゅう出かけてばかりいたが、認知症だという話を宣告されてから、パタッと行かなくなった。これはまずいことしたと思った」 妻・秋江さん 「えーっていう…ショックはショックですよね」 幼稚園の先生として65歳まで子どもたちと接していた秋江さん。 退職後は趣味のコーラスなどに毎日のように出かけていく活発な女性でした。 しかし、認知症と分かると、家にこもりがちになったといいます。 記者 「外にも出る気分になれなくなってしまった?」 妻・ 秋江さん 「引っ張り出されているって感じ」