モテモテの4階級王者井岡一翔が大晦日の先に選ぶ相手とは? 統一戦最優先方針も「対戦可能性がないわけではない」
井岡の大晦日の次を巡っての動きも活発化している。 先日、東京で開催されたWBO総会で、フランシスコ・バルカルセル会長が、大晦日に井岡と田中が同時防衛に成功すれば「来年に2人の戦いを実現したい」と明言。田中の4階級挑戦という形になる“究極の日本人対決”をバックアップすることを約束したのである。さらに23日に日本で復帰戦をTKO勝利で飾った“ロマゴン”ことローマン・ゴンサレスも「井岡とやりたい」と井岡戦を熱望した。 「今はシントロンとの戦いに集中しているが、クリアすれば、必然的に、次の防衛戦、統一戦に視野が広がると思う。(田中とロマゴンは)いち対戦候補として戦う可能性としてないわけではない。今回勝たないと次はどうなるかわからないが、対戦候補の中にはあるんじゃないですか」 モテモテの井岡は2人との対戦を否定しなかった。 実は、井岡陣営は、当初、2020年1月に予定されていたWBC世界同級王者、ファン・フランシスコ・エストラーダ(29、メキシコ)対WBA同級王者、カリド・ヤファイ(30、英国)の統一戦の勝者への挑戦を最大のターゲットとして考えていた。「統一戦を最優先」という方針だ。だが、エストラーダの左手の故障で試合が中止となり、しかも、エストラーダの再起は、秋以降にずれこむ見込みになった。 状況がめまぐるしく変わってしまった現時点で「統一戦を最優先」するならば、ヤファイ、あるいは、12月7日に6回TKOで防衛戦を終えたばかりのIBF同級王者のジェルウィン・アンカハス(27、フィリピン)の2人に絞られる。ただ王座復活を狙うロマゴンは、井岡戦とヤファイ戦の両方をにらんでおり、ロマゴン対ヤファイ戦が一度、テーブルに乗った経緯もあり、ヤファイが対戦相手にロマゴンを選ぶ可能性も捨てきれない。現状、この階級の統一戦の行方は混沌としているのだ。エストラーダが長期離脱するため、WBCがおそらく設定するであろう暫定王座決定戦にロマゴンが抜擢されるという話もある。 もしロマゴンが、いずれかのベルトを奪取し新王者となれば、ロマゴンとの対戦は井岡の「統一戦最優先」という希望には合致する。 一方、田中戦について井岡は「国内(の選手)とやるために復帰したわけじゃない」と暗に拒否したことがある。だが、WBOの会長が号令を出して田中が指名挑戦者となれば話は違ってくる。 この日本人対決プランは、田中が、現在のタイトルを返上し、スーパーフライ級でランキングを上げるための転級試合を行った後の来年の大晦日の舞台が最有力になるだろう。 「対戦の可能性は2人共にか?」と念押ししたとき、井岡は、「うーん。具体的にはわからない。その時がくればという感じです」と答えたが、その真意は、他団体のベルトの行方を見守りながらターゲットを絞っていくということを示唆していたのである。 2020年には、WBA世界バンタム級スーパー、IBF世界同級王者の井上尚弥(26、大橋)、WBA世界ミドル級王者、村田諒太(33、帝拳)が、ビッグマッチを計画している。井岡も2人に負けまいと「リアルな相手」との対戦実現を模索するのは間違いないだろう。だが、その前に、今回のシントロンは強敵である。 井岡の言葉通り、来年の話よりも「今はシントロンの戦いに集中する」という姿勢が正解なのだ。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)