兵庫県知事選で斎藤元彦前知事が再選 先行した元尼崎市長を逆転、返り咲きで任期は4年
知事失職に伴う兵庫県知事選が17日に投開票され、無所属前職の斎藤元彦氏(47)が、元同県尼崎市長の稲村和美氏(52)ら無所属新人6人を破り、再選した。斎藤氏は自身のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題で県議会から全会一致で不信任決議を受け自動失職し、出直し選挙に臨んでいた。稲村氏は混乱した県政の立て直しなどを訴え、情勢調査などでは一時先行しているとみられたが、逆転された。投票率は55.65%で、前回の41.1%を大きく上回った。 【写真】「期待にそえずおわび」敗戦の弁を述べる元尼崎市長の稲村氏 斎藤氏は同日夜、事務所に集まった支援者に「支援がここまで広がるとは思っていなかった。感謝の気持ち、謙虚の心を胸に刻んで頑張っていく」と述べた。知事の任期は4年となる。 県議会最大会派の自民党と日本維新の会から推薦を受けた3年前の前回選とは異なり、政党の推薦を得られない中で選挙戦に突入。自民が独自候補の擁立を断念し、自主投票を決めるなどして地方議員の一部が斎藤氏の支援に回ったが、当初は稲村氏に先行を許した。 選挙戦では、行財政改革など自身の実績をもとに改革の継続を強調した。同じく立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」党首、立花孝志氏(57)が斎藤氏の支援に回る異例の展開をたどり、交流サイト(SNS)上で斎藤氏の応援投稿が増えるなどして支持が拡大。各地の街頭演説では多くの聴衆を集め、「3年間やってきた歩みを無にするわけにはいかない」などと訴え、稲村氏を逆転した。 ただ、告発文書問題を巡っては、県議会の調査特別委員会(百条委員会)が続き、県設置の第三者委員会も今年度中をめどに調査報告書をまとめる予定だ。斎藤氏は今後、県組織の立て直しや不信任決議案を可決した県議会との関係構築など、多くの課題解決に取り組むことになる。 稲村氏は、自民や立憲民主党の県議、国会議員など党派を超えて支援を受けた。最終盤の14日には県内22市長が稲村氏支持を表明したが、斎藤氏の勢いの前に敗れた。17日夜、支援者を前に「これからの県政が正確な情報と建設的な議論で推進されることを心から願う」と語った。 前参院議員の清水貴之氏(50)は、告示直前に維新を離党して臨んだが、維新支持層を固められなかった。
知事選には過去最多の7人が立候補し、知事の資質や、文書問題で混乱した県政運営が主な争点になった。県選挙管理委員会によると期日前投票者数は94万4541人。前回選より34万3102人増え、過去最多を更新した。