<精神科医・和田秀樹>「日本の健康診断は長寿に結びついていない」と断言する理由。ただひたすら患者の血糖値を下げようとする医者は「バカ」
血圧や血糖値を下げるデメリットとは?
血圧が高いことや血糖値が高いことの弊害もあるにはあるので、薬を使ってそれを下げることにまったくメリットがないとまでは言いません。 ただし、その副作用のせいでかえって体へのダメージが大きくなり、生活の質が保てなくなるケースが実は非常に多いのです。 特に高齢者の場合、多少なりとも動脈硬化が進んでいるので血管の内部が細くなり、そのぶん血流は悪くなります。全身に淀みなく血液を行き渡らせるためにも血圧は高いほうが都合がよく、歳とともに血圧が高くなる傾向があるのもそのせいだと考えられます。 それを薬で無理に下げてしまえば血行不良が起きますから、頭がぼんやりするなどの症状が出たとしても不思議ではありません。 血糖値も同様で、糖尿病の診断基準に該当するからといってやみくもに血糖値を下げる薬を飲むと、高血糖よりある意味危険な低血糖を誘発することがあります。 多くの人は、糖尿病というのは血糖値が上がる病気だと思い込んでいますが、そうではなく血糖値が安定しない病気です。だから糖尿病の人は、高血糖になりやすいと同時に実は低血糖にもなりやすいのです。 ただひたすら患者の血糖値を下げようとするバカな医者がいまだにたくさんいるのですが、そのせいで時間帯によって低血糖状態になり、ふらついたり、頭がぼーっとしたりすることに悩まされている方が実はとても多いのです。 写真/shutterstock
---------- 和田秀樹(わだ ひでき) 1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。ベストセラー『80歳の壁』(幻冬舎)、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社)、『60歳からはやりたい放題』『90歳の幸福論』『60歳からはやりたい放題[実践編]』『医者という病』(扶桑社)など著書多数。 ----------
和田秀樹