元祖「カリカリ梅」6代目社長は元タカラジェンヌ「腰かけじゃない!」と示した覚悟の9年間
先輩は事前に「彼女は実家の会社を継ぐために宝塚歌劇団を辞めた。もし結婚したとしても、地元から離れられない子だよ」と事情を伝えてくれていました。 彼もそれでもいいと言ってくれたので、とんとん拍子に話が進みました。出会ったときから遠距離で結婚後のいまも夫は東京、私は前橋市に住んでいます。ずっと離れて暮らしているから、それが私たちにとっては当たり前の生活です。 2009年10月に第一子が生まれました。大学4年生のときで、目標通り4年で卒業するためには、産後に東京で2日間のスクーリングの授業を受けなければなりませんでした。生後数か月の娘を連れて東京に行き、日中は義母にお世話をお願いして、夜は自分がめんどうをみました。たくさんの人に協力してもらい、卒業することができました。
卒業後、さらに学びの場所を求めていたところ、中小企業の経営者が集まる「中小企業家同友会」に出会い、先輩経営者の皆さんの教えを得ながら、自社の経営指針をつくり上げることができました。 その間、少しずつ私の会社への姿勢が社員さんにも伝わってきて、社員さんといい関係が築けるようになってきました。 ── 2018年、赤城フーズ株式会社の6代目代表取締役社長に就任されました。 遠山さん:経営者として毎日忙しく過ごしています。直販店でカリカリ梅を試食したお客様が「こんなおいしいカリカリ梅、はじめて食べた!」と笑顔になってくださる姿を見て、「私たちの仕事は、おいしいカリカリ梅を作って、お客様に笑顔になっていただくことなんだな」と思いました。
社員さんもお客様も仕入れ先の方々も、赤城フーズに関わるみんなが笑顔になるように…と、「笑顔の伝承」を経営理念にしています。 そして、私は経営者であると同時に、ふたりの娘の母親でもあります。私にとっては、会社も娘たちもどちらも大切でかけがえのない存在です。娘たちに「ママは私たちより会社が大事なんだ」と思われないように、小さなころから1日に何回も「かわいいね」「大好きだよ」と愛情を伝えるようにしてきました。