元祖「カリカリ梅」6代目社長は元タカラジェンヌ「腰かけじゃない!」と示した覚悟の9年間
それでも、自分のなかに「一般的な会社像」がないから、何が正しいのか判断できないし、具体的に何をしたらいいのかさえイメージできませんでした。 ── 宝塚歌劇団と一般的な企業はまったく違う世界ですから、新天地でとまどうのも当然だと思います。 遠山さん:入社後に知ったのですが、私の父をはじめ、ほかの漬物業界の後継者の方たちも、取引のある別会社で修行してから、自社に入社することが多いそうで。 その話を聞いて、私もどこかで修行してから入社するか、大学で勉強してからのほうがよかったのかと思いました。でも、すでに入社していますから、そういうわけにもいきません。
ちょっとしたことでも赤城フーズのやり方が適切なのか、もっといい方法があるのかわからなくて。宝塚の経験を当てはめてよいのかもわかりません。 たとえば、「報連相」でも、宝塚では何かあれば即座に同期全員で共有します。そして必要があれば一学年上の先輩にもすぐ報告します。それが全学年で行われるので、連絡漏れがありません。私にとってはそれが当たり前でしたが、その方法を一般の会社に当てはめていいのかもわかりませんでした。
いまの私でも学べる場所がどこかにないかと悩んでいたときに、働きながら学べる通信制の大学があると教えてもらい、調べてみたら産業能率大学通信教育課程経営コースが、まさに私の知りたかった会社経営に必要なことが学べる授業でした。即入学を決めて、入社2年目の2006年4月から学び始めました。
■働きながら大学と育児…濃厚な9年間を経て社長へ ── 働きながら勉強するのは大変だったのではないでしょうか? 遠山さん:大変でしたが、一緒に勉強する仲間がいたので心強かったです。通信制の大学でしたが、入学したときに「学生会」という、それぞれの地域で学ぶ人が集まる会に入ったんです。
私が大学に入学したのは26歳のとき。ふつうより遅い気がしていましたが、周囲にはさまざまな年齢の人がいました。勉強はいくつになってもできるんだと思いました。しかも私は、大学在学中に結婚、妊娠、出産も経験しています。 ── なんと!ご主人との出会いのきっかけはなんだったのでしょうか? 遠山さん:宝塚歌劇団時代の先輩が招待してくれた結婚式の2次会で知り合いました。その後、夫が「(私のことを)紹介してほしい」と言ったらしいんです。