脂がのった29歳のツアールーキー、ジェイク・ナップが飛距離と我慢のゴルフで掴んだPGAツアー初優勝
メキシコのヴィダンタバヤルタで開催された「メキシコオープン at ヴィダンタ」は、PGAツアー参戦9試合目のツアールーキー、ジェイク・ナップ(米)が2位に2打差の19アンダーで優勝。向こう2年間のシード権と、優勝賞金145万8000ドル(約2億1930万円)を手に入れました。激戦の模様を、ゴルフネットワークで解説を務めたプロキャディー、進藤大典氏に振り返ってもらいました。また、松山英樹選手の元キャディーである進藤氏には、前週の松山英樹選手の優勝についても語ってもらいました。 【動画】ゆったりスイングの飛ばし屋ルーキー、ジェイク・ナップがPGAツアー初優勝!久常涼は最終日「67」をマーク【メキシコオープンatヴィダンタ4日目】
松山英樹の存在感を改めて見せつけた2年ぶりの優勝
まずは、「ザ・ジェネシスインビテーショナル」で2年ぶりの優勝を飾った松山英樹選手の話から。この2年間に生きのいい若手がどんどんどんどん出てきた一方で、ベテランの域に入った松山選手がなかなか勝てなかったのは事実。しかしこの優勝で、「松山英樹は、まだ日本のトップなんだぞ」というところを見せてくれましたね。 しかも勝ったのが、リビエラCC。「マスターズ」以降も、「ZOZO CHAMPIONSHIP」「ソニーオープン・イン・ハワイ」で優勝していますが、リビエラでの大会は世界のトップが集うビッグイベントで、ここで勝ち切るというのはすごいこと。この2年間、スイング改造をしたり、コーチの指導を仰いだりといろいろなレボリューションがあって、新しい松山英樹が生まれたという感じがします。 また、これから始まるメジャーの前に勝ったというのも大きな自信になると思います。1つでも勝ってメジャーを迎えるのと、未勝利で挑むのとでは全く違うので、今季のメジャーは全試合楽しみになってきました。
飛距離だけでなく、精神的にも強いジェイク・ナップ
「メキシコオープン」を優勝したのは、ジェイク・ナップ。UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)出身で2016年にプロ入り。プロでもすぐに活躍すると思われていたのですが、さらなる高みを目指して、いろいろなことにトライし過ぎたのが失敗してなかなか結果が出ず。その後、PGAツアーカナダに行ったんですが、そこで自分の強みやマネジメントを見つめ直したみたいです。優勝後、抱き合っていた彼女ともカナダで出会ったと聞いています。 昨年は、米下部ツアーのコーンフェリーツアーを主戦場にして、トップ10に10回入るという安定感を発揮。そしてツアールーキーとして参戦したPGAツアーで、9試合目にして頂点に立ちました。ナップの魅力は、コーンフェリーでもランキング2位に輝いた飛距離。また、今どき珍しい2番ウッドをバッグに入れたりして、多彩なティーショットでコースを攻略しているのも面白い点です。ルーキーではありますが、年齢は29歳。脂が乗っている感じがして、プレー自体も楽しかったです。 苦労している分、根性もあるようです。最終日、1番と3番がボギーで崩れそうな感じもしたし、ティーショットもチーピン気味の球が出ていたので、「今日は大きく崩れるんじゃないか」と思っていたのですが、何とか持ちこたえていた。特に後半はしっかりリスク管理をしながらコツコツやって、流れを引き寄せるというゴルフ。本当に精神的な強さを感じました。 優勝後、コーンフェリーの選手たちが集まって行われた祝福のウォーターシャワーも感動的でした。 今後もナップのような選手が続々と出てくるなど下からの突き上げが激しくなりそうですし、上で戦っている選手もウカウカしていられない。PGAツアーはますます面白くなりそうですね。