どうなる?建て替え浮上の原宿駅 三角屋根・国立駅舎は復原へ
オリンピック開幕を4年後に控えて、東京ではいたるところで都市改造が進んでいます。そうした中、6月8日、JR東日本が原宿駅建て替えを発表しました。ところが、都内最古の木造駅舎として知られることから、取り壊しを心配する声が多数上がり、論争が起こっています。 同様に人気があり、多数の惜しむ声があった中、建て替えられたのが、かつて三角屋根の駅舎で知られた国立駅です。 市と市民あげての駅舎保存の取り組み、実はまだ継続していたのをご存知でしょうか。
駅舎保存か、取り壊しか…現時点未定の原宿駅
建て替え計画が発表された原宿は、高校生など若者が闊歩する竹下通りや外国人観光客に人気の明治神宮最寄り駅として知られます。 2014(平成26)年度の統計によると、原宿駅の一日の乗車人員は約7万人。オリンピック開催年までに、さらなる利用者の増加が想定されています。 現在の原宿駅は表参道口と竹下通り口の2か所の出入口がありますが、どちらも駅東側に位置しています。今回の建替え計画では、明治神宮がある西側にも出入口を増やすとともに、ホームやコンコースなどの拡幅も進めます。これにより、混雑時にも利用者の安全を確保する狙いがあります。 原宿駅舎は、1924(大正13)年に竣工。都内最古の木造駅舎として知られています。イギリス風デザインの駅舎は鉄道ファンや地域住民のみならず、たくさんの人から愛されてきました。 それだけに、建て替え報道で木造駅舎の取り壊しを心配する声が挙がりました。JR東日本広報部によると、「新しい駅舎を建設した後、木造駅舎を取り壊すのか、それとも保存するかは決まっていない」とのことです。
中央線高架化で撤去迫られた国立駅舎
原宿駅舎のように地域住民や鉄道ファンの域を超えて、愛されている駅舎は各地にありますが、老朽化などの理由から改築・解体されて長年親しんだ姿が消えてしまうことも珍しくありません。 都内で人気のあった国立駅も駅舎保存運動が起きた一例です。都内で2番目に古い木造駅舎だった国立駅は、1993(平成5)年に中央線の連続立体交差事業が持ち上がると解体の危機に直面しました。 当時の中央線は三鷹駅-立川駅間にいくつか踏切があり、ラッシュ時間帯になるとそれらが開かずの踏切となって渋滞を引き起こす原因になっていました。 それらを解決する手段として立体交差化する方針が決められ、国立駅周辺は線路を高架化することになったのです。高架化には、国立駅舎を移転させるか、撤去する必要がありました。 木造の国立駅舎は老朽化していたことから、JR東日本は駅舎を撤去して、新しく建て替える方針を示しました。ところが、その方針に国立市が異を唱えます。 「国立市は駅を中心に街がつくられていったという歴史があります。1926(大正15)年に竣工した三角屋根の駅舎は、市民からも長らく愛される存在です。市民にとって、単なる電車を乗り降りする場所ではありません。市のシンボル的な駅舎だったことから、解体話が浮上すると、市はすぐにJR東日本や東京都に駅舎を保存するように要望・陳情したのです。」(国立市国立駅周辺整備課)