ポスティング移籍後の日韓の対応 違うのは制度ではなく任意引退選手の復帰までの期間
【室井昌也コラム 月に2回は韓情移入】先月、他媒体で「上沢直之のソフトバンク入りに見る韓国の事例 KBOではポスティング移籍後の国内復帰は必ず『古巣』」というコラムを書いた。その感想として「KBOの制度を見習うべき」というものをインターネット上で散見した。 だがポスティングシステム自体はNPB、KBOともにMLBと協議したもので制度自体はほぼ同じ。異なるのはNPBではポスティング移籍の際、球団は選手の契約保留権を放棄(自由契約)するが、KBOではNPBの任意引退選手にあたる「任意解約選手」を申請するということだ。 任意引退選手の復帰に関してNPBとKBOでは期間の違いがある。NPBでは「日本プロフェッショナル野球協約2024」の第67条(3)に「任意引退選手について保留権を有していた球団は、当該選手が最初に全保留選手名簿へ記載された時点から3年を経過した時点で、その保留権を喪失し、当該選手は、総合任意引退選手名簿から削除され、以後自由契約選手と見做される。(抜粋)」とある。 一方、KBOは「任意解約選手の復帰は公示日の1年後から申請可能で、復帰する選手は前所属球団と契約を締結しなければならない」(2024KBO規約第66条「復帰申請」、第68条「復帰球団」)とある。NPBは3年、KBOは1年だ。 球界の制度作りに長く関わり国内外の事情に精通している人物に聞くと、「NPBの任意引退選手の保留権喪失について以前はMLB同様に期限は設けていませんでしたが、03年に3年を経過したら『みなし自由契約』としました」と話した。KBOの任意引退選手の復帰が1年後から可能というのが珍しいケースと言えるだろう。 ちなみにKBOからのポスティング移籍第1号は09年の崔香男(チェ・ヒャンナム)で入札額は101ドル(現在のレートで約1万6000円)の「マイナー契約」だった。崔香男は当時38歳。所属球団のロッテ・ジャイアンツは「決断を応援する」として低い入札額を受け入れた。 KBO初の「メジャー契約」によるポスティング移籍は13年にドジャース入りした柳賢振(リュ・ヒョンジン)。5年総額2200万ドル(約34億7600万円)で先日、ドジャースと契約合意した金慧成(キム・ヘソン)まで8選手がKBOからポスティング制度を利用してMLB球団とメジャー契約を結んだ。