「もしトラ」から「もしバイ」へ…バイデン氏が支持率でリード トランプ氏有罪評決で有権者に変化【アメリカ大統領選】
トランプ米前大統領がいわゆる「口止め料」裁判で有罪になったのを機に「もしトラ」が「もしバイ」に米政界の流れが変わってきたようだ。 【画像】有罪評決後の世論調査では、支持率でバイデン氏がトランプ氏をわずかにリード
アメリカの有力誌が「もしバイ」
米誌「タイム」6月24日号は、その表紙にバイデン大統領がカメラをにらみつけているようなモノクロの写真を掲載し「もし彼が勝てば(If He Wins)」と見出しをつけた。 実はそのほぼ1カ月前の5月27日号の同誌の表紙は、トランプ前大統領が両手を組んで眉をひそめているやはりモノクロの写真に「もし彼が勝てば」と同じ見出しをつけたものだった。 いずれも11月の大統領選で当選した場合の抱負などをインタビューを基にした記事を特集したものだが、トランプ前大統領の記事には次のような記者の前置きがあった。 「2024年の大統領選挙まであと6カ月となったが、トランプはこれまでの選挙戦のどの時点よりも、ホワイトハウスを勝ち取るために有利な立場にある。ほとんどの世論調査で、ジョー・バイデンを僅差でリードしており、その中には結果を左右しそうな7つのスイング・ステート(選挙のたびに勝利政党が変動する激戦州)のうちのいくつかも含まれている。しかし、私は選挙について、前回の選挙に続く不名誉について、あるいは彼が前アメリカ大統領として初めて、そしておそらく未来のアメリカ大統領として刑事裁判を受けることになった経緯について聞きに来たのではなかった。トランプが2期目に当選したら何をするのか、彼自身の言葉で国家に対するビジョンを聞きたかったのだ」 このインタビューは4月12日に行われたとあり、「口止め料」裁判の帰結が予想できない時だったにもかかわらず、今回の大統領選ではトランプ前大統領が優勢であることを前提にしたものだった。まさに「もしトラ」の特集記事だったと言えるだろう。 一方、6月24日号のバイデン大統領へのインタビューは5月28日に行われたとある。トランプ前大統領が34件の訴因全てで有罪になった前日のことだ。しかし、同誌電子版に載った記事とインタビューの記録を読む限りでは、この裁判にはいっさい触れていない。選挙に関わる問題を取り上げたのは終盤の次の問答だけだった。 記者: 大統領任期の最後の2年間は、通常、外交問題に焦点が当てられます。あなたは81歳で、退任時には86歳になっています。民主党を含むアメリカ国民の大多数は、世論調査に対して、あなたが指導者としては年を取りすぎていると思うと答えています。85歳の老人にこの仕事ができるでしょうか? バイデン大統領: 僕は君が知っている誰よりもうまくやれるよ。 記者: 年齢を考えて再出馬を諦めようと考えたことはありませんか? バイデン大統領: ノー、ないね。 バイデン大統領とのインタビューは、ガザ問題やウクライナ情勢、それに中国との関係など外交問題に終始し、それもバイデン政権2期目の課題というよりは1期目に残された課題への対応が取り上げられたようにも思えた。それを「もし彼が勝てば」という見出しで伝えたのは、「口止め料」裁判の判決で大統領選を取り巻く状況が「もしバイ」、つまりバイデン大統領の再選もあり得る情勢が浮上してきたからではなかったか。