「もしトラ」から「もしバイ」へ…バイデン氏が支持率でリード トランプ氏有罪評決で有権者に変化【アメリカ大統領選】
世論調査でバイデン氏がわずかにリード
6月3日~6日に行われた米ヤフーニュース/YouGovの世論調査では、バイデン大統領の支持率が46%でトランプ前大統を2%上回った。大統領がトランプ前大統領をリードするのは2023年10月以来。その差はわずかだが「口止め料」裁判での有罪評決後に支持率が逆転した意味は大きい。 また、トランプ前大統領への有罪評決の直後に行われたロイター通信とイプソス世論調査会社の共同調査では、共和党支持者の10%が「有罪評決でトランプには投票しないことにした」と回答し、無党派層でも25%が同様に答えている。 この心変わり票が大統領選挙にどのように影響するかは断定できないが、米国の大統領選挙の勝敗はほんの一握りの州での僅差を積み重ねて決まる。 前回2020年の場合なら、バイデン大統領はトランプ前大統領に選挙人数で74人の差をつけて勝利したが、その差は前大統領から奪還したスイング・ステート3州(アリゾナ州、ジョージア州、ウイスコンシン州)に割り当てられた選挙人37人を「行ってこい」で2倍増したものと同数だ。この3州で勝ったことがバイデン大統領の勝利につながったと言っても良いだろう。しかも、この3州の票差は合わせても4万4000票足らずだった。 世論調査だけでなく、6月7日に行われたニュージャージー州の予備選挙で同州の共和党の上院議員の候補者にトランプ前大統領が推薦した人物が落選し、前大統領のライバルが推薦していた人物が当選するということになった。 つまり、今回の「口止め料」裁判の有罪評決は、有権者の態度に劇的な変化こそ呼び起こさなかったものの、じわじわとトランプ前大統領を追い込んでいるように見える。 さらに、7月11日にはトランプ前大統領への量刑言い渡しがある。その量刑次第ではトランプ懐疑派が増え、「もしバイ」の可能性が強まることになることは十分予想できる。 【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】 【表紙デザイン:さいとうひさし】
木村太郎