U-22日本代表の秘密兵器!食野亮太郎の痛快無比なシンデレラボーイ物語とは?
英語が堪能とは言えないが、通訳はつけていない。それでもチームメイトとのコミュニケーションに関して、食野は「最低限のものは取れています」と新天地での日々を謳歌している。 「中学のときに習った基礎知識があるので、それでだいたい話せます。もちろん日本語を話していたときのように、わちゃわちゃ言い合ったりするほどの英語力はまだないけど、勉強も続けているので」 プロサッカー選手として歩んでいく道を、自らの意思で大きく変えてから約3ヶ月。その間にリーグ戦で2ゴールをあげている食野は「身体がちょっと大きくなりました」と、スコットランドの地で成長を遂げた部分としてフィジカルをあげている。 「雨が多いんですよ。午前中に降って、午後にはあがる。だから、午前中に行われる練習のときはいつも雨で、グラウンドがかなりグチャグチャなんですよ。芝生そのものは綺麗なんですけど、芝生の下の土が水を吸って柔らかくなっていて。そのなかで向こうのサッカーに適応するために、スピードだけでなく、足腰が強くなったことで馬力もついたと自分のなかでは思っています」 13日の練習からは、10月シリーズまではフル代表を主戦場としていたMF堂安律(PSVアイントホーフェン)、そしてMF久保建英(RCDマジョルカ)が合流する。特に同じ1998年生まれで、誕生日もわずか2日違いの堂安は、ガンバのジュニアユースおよびユースの同期生でもある。 ただ、現時点では2016シーズンのJ3リーグ最終節、11月20日のY.S.C.C.横浜戦が同じピッチでプレーした最後の試合になっている。J1における初出場および初ゴールも、ヨーロッパへの移籍も、そしてフル代表デビューおよび初ゴールも、すべて食野の先を突っ走ってきた堂安と再び共演できる。胸の鼓動が高鳴ってくるのを、食野は感じずにはいられなかった。 「もちろん、追いついたとはまだ思っていない。それでも律の背中を見てずっとプレーしてきたので、同じ舞台で戦えることはすごく楽しみだし、いい刺激をもらって自分の成長につなげていきたい」 フォワードとしてプレーした時間は、ライバルたちと比べて圧倒的に短い。それでも愚直なまでに真っ直ぐで、どこまでも強気で、なおかつ自信満々な姿勢を介して、食野は成長曲線を右肩上がりに転じさせてきた。東京五輪まで8ヶ月あまりというタイミングを考えれば、成長のスピードが加速されていく先には、本番における「秘密兵器」という役割が待っているかもしれない。 (文責・藤江直人/スポーツライター)