中途入社20~30代社員が評価した「育成環境」優れた10社とは 長期育成に力を入れる企業「2つの特徴」専門家が解説
「価値観のマッチング」と「入社後の成長機会の提供」がキーワード
近年、深刻化する労働力不足を背景に、企業は優秀な人材を採用するだけでなく、採用後の定着から活躍にまで力を入れるようになってきています。いわば、「バケツの穴を塞ぐ」取り組みです。 オープンワークで多くの顧客企業の採用活動を支援している中で、人材の長期育成に力を入れている企業にはいくつかの共通項がある、と考えるようになりました。 採用は「社員の成長と企業の発展をつなぐ長期的な投資」――そのようにととらえている企業は、人材の長期育成に力を入れていると見ていいでしょう。そうした企業の特徴を2つお伝えします。 特徴の1つ目は、価値観のマッチング。つまり、企業が重視する「価値観」と、求職者が大切にする「価値観」のマッチングを重視していることです。 そうした企業では、職務内容や報酬体系だけでなく、日々の業務の中でどのような思考・行動が求められるのか、具体を交えて説明することで、求職者の企業文化理解を促進しています。 たとえば、説明会の場でも、中途入社で活躍されている社員とのパネルディスカッションや質疑応答を設けることで、より具体的に働くイメージを届けるといった取り組みが見られます。入社後のギャップを最小限に抑え、長期的な活躍を目指しているのです。 特徴の2つ目は、「点」ではなく「線」での採用・育成デザイン。採用は単発のイベントではなく、入社後の育成やキャリアパス設計まで含めた一連のプロセスとしてとらえています。 なぜなら一度採用した人材が早期に離職してしまうと、その人材を採用した時の採用コストや育成コストのムダが生じ、さらには組織全体への悪影響まで及ぼしかねません。 企業が長期的な視点で人材育成を行うためには、入社前後のギャップをできる限り排除することが重要。入社してからは、社員に対して選考中に確認したキャリア目標を再度把握し、それに沿った成長機会を提供することが必要不可欠です。 そのため社員の育成に注力する企業では、採用工程や入社後に明確なキャリアパスを示すだけでなく、適切にコミュニケーションを取っています。たとえば、定期的な上司/人事との1on1面談や、上司/サポーター(メンター)とのキャリア相談を実施することで、社員が安心して長く働き続けられるような環境づくりに力を入れています。 こうした活動は、単に人材を採用・定着させるだけでなく、社員一人ひとりが自らの能力を最大限に発揮できる職場づくりにも寄与します。 転職検討中の人はこれから新たなキャリアを検討する上で、企業が採用活動をどのようにデザインし求職者と向き合っているのかをクチコミ などからも確認してみてはいかがでしょうか。自分に合った職場環境はきっと見つかるはずです。 【プロフィール】 和田大生(わだ・ひろお) オープンワーク株式会社 マッチング事業部 企業コンサルティングユニット キャリア採用グループ 大学卒業後、2021年にオープンワーク入社。リクルーティングコンサルタントとして、一貫して大手総合コンサルファームや日系大手メーカー、テック系ベンチャー企業などの中途採用を支援する。現在はメンバーマネジメントや自社採用なども奮闘中。