イスラエル、報復攻撃で「すべての目標を達成」…イラン「適切な時期に比例的対応」
軍事施設が破壊され、少なくとも4人の将校が死亡 イラン「防衛する権利」強調…全面戦争の懸念
イスラエルがイランの首都テヘランと南西部地域を空爆し、イランの長距離ミサイル関連などの軍事施設が破壊され、少なくとも将校4人が死亡した。イランはイスラエルの報復攻撃に対して防衛権を強調するが、直ちに対応には乗り出さない考えを示した。しかし、両国が相手の領土を直接打撃する報復と再報復の悪循環が続いており、全面戦争への懸念は収まらない。 26日未明、イスラエル国防軍(IDF)の戦闘機は1600キロメートル離れたテヘランと西部イラム、南西部のフゼスタン地域を攻撃した。イスラエルの戦闘機がどのように周辺国の領空を通過したのかは、正確には知られていない。イスラエルが米国の統制しているイラク領空で攻撃を開始したとイランは主張している。 イスラエルのネタニヤフ首相は翌日の27日、「われわれは約束を守った。空軍がイランを攻撃し、防衛能力とわれわれを狙ったミサイル生産能力に深刻な打撃を与えた」とし、「攻撃は強く正確であり、すべての目標を達成した」と述べた。AP通信は衛星写真の分析の結果、テヘランの南東部の秘密軍基地2カ所が損傷を受けたと報じた。通信の説明によると、1カ所は過去にイランの核計画に参加した専門家と関連する場所であり、もう1カ所は弾道ミサイル計画関連の場所だという。 イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は26日、映像メッセージを通じて「イランの軍事目標物を標的に精密爆撃を行った。イスラエルを威嚇し戦争に引き込もうとするすべての人間は莫大な代価を払うことになるだろう」と述べた。 米メディアのアクシオスは匿名の消息筋の話を引用して、イスラエルがオランダなどを通じて攻撃対象をあらかじめイランに告知したと報じた。イスラエルは米国にも攻撃計画を事前に通知し、米国のジョー・バイデン大統領はイスラエルのイラン攻撃後、記者団に「これが終わりであることを願う」とし、イランが再び報復に乗り出さないことを望むという考えを明らかにした。 イラン政府はイスラエルの空爆の防御に成功したと発表し、防衛する権利と義務を強調した。イラン国営のIRNA通信によると、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は「(イランに対するイスラエルの攻撃は)誇張されてはならず、かといって過小評価されてもならない」と語った。 イランのモハマド・レザ・アレフ副大統領は「攻撃者(イスラエル)は対応を待たなければならない。われわれは適切な時間と条件下でイスラエルの空爆に比例する対応をする」とし、直ちには対抗しない考えを示した。先月27日、イランが支援するレバノンの武装組織ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師がイスラエル軍の空爆で死亡した後にイランが出した「破滅・血の復讐」のような強硬な発言もなかった。ニューヨーク・タイムズは、イラン指導部が全面戦争を避けるために国内の強硬派の期待を下げる発言をしていると分析した。 英国の日刊紙ガーディアンは、イランの極右性向のアミールホセイン・サベティ議員のような強硬派が対応を求めていると指摘した。サベティ議員はソーシャルメディアを通じて「安定した安全保障は強力な対応にかかっている。対応するのに最適な時期は、(イスラエルが)ガザとレバノン(ベイルート)で消耗戦を繰り広げる時だ」と主張した。英BBCは、イランで核武装の声が高まる恐れもあると伝えた。 イランとイスラエルは最近まで直接交戦ではなく「影の戦争」を繰り広げてきた。イスラエルはイランの主要人物の暗殺と施設の破壊、そしてイランはヒズボラやパレスチナのイスラム武装組織ハマスを支援する形で戦ってきた。しかし4月1日、イスラエルがイランの支援するシリアのイラン領事館を空爆、その報復としてイランは4月13~14日にミサイルとドローン(無人機)で史上初めてイスラエル領土を攻撃した。4月19日、イスラエルがイランの核施設があるイスファハン州を空爆したが、核施設自体は攻撃せず1回目の攻防は終わった。 イスラエルとイランの2回目の攻防は7月31日、イスラエルの犯行と推定される攻撃により、テヘランでハマスの政治最高指導者イスマイル・ハニヤ氏が暗殺されたことから始まった。イランは9月27日、イスラエル軍の爆撃によりヒズボラの指導者ナスララ師とともにイラン革命防衛隊の高位指揮官が死亡した後、報復を予告し、今月1日イスラエル領土にミサイル約200発を発射した。イスラエルは26日に再報復に乗り出したが、米国が止めたイランの核施設や石油施設への攻撃は避け、1回目の攻防の時のように今回の事態は終わる可能性がある。 しかし、4月以降両国が互いの領土を直接打撃し、すでにある程度一線を越えた状態であるため、イランの対応などにより事態が急激に拡大する火種もくすぶっている。 チェ・ウリ記者、ワシントン/イ・ボニョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)