まちのデメリット減らし、人々を幸せに 都市防災研究者・廣井悠東大教授 TOKYOまち・ひと物語
大きなやりがいを感じている。東大教授も務めた父(廣井脩氏)は災害情報、社会心理学の観点から平成3年の雲仙普賢岳噴火災害の検証などで活躍した著名人。子供のころから父は災害調査などで忙しく、あまり家にいなかったため進路選択で影響は感じなかったが、「もしかしたら、(深いところで)影響を受けていたのかも。よく『研究者はいいぞ』と言っていました。自分の信念を曲げることなく突き進むことができると」と振り返る。
■研究の合間に探検
探検が好きで、多忙な研究の合間には東京の街歩きやカフェ・喫茶店巡り、ジョギングを楽しむ。「特に純喫茶が好きです。歩いて、喫茶店に入って、また歩いて」
散歩好きには地形鑑賞など地理学的観点で楽しむ人も多いが、自身は工学者らしく「上物(建物などの構造物)を見るのが好き」と話す。「谷根千」エリアのくねくねと曲がった路地「へび道」、防災団地「白鬚東アパート」(墨田区)、また新宿駅周辺の地下街などの入り組んだ構造を見るのが楽しい。
古地図と現在の街並みを比較し、答え合わせをしながら歩くのも気に入っている。「ビル街でも、ちょっと歩くと江戸を感じるところもあり、歴史を勉強すればするほど街歩きが楽しいです」
こうしたことの一つ一つが、単にメガシティーというだけではない東京の魅力を形作っている。これからもまちを愛し、そこに暮らす人々の幸せのために突き進む。(黒田悠希)