AMD株急落、AI用半導体の売上高見通しは一部の期待に届かず
(ブルームバーグ): 米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が示した10-12月(第4四半期)の売上高見通しは、アナリスト予想を下回った。同社の人工知能(AI)向け半導体の販売ペースは一部の予想より緩慢との懸念が強まり、株価は時間外取引で急落した。
29日の発表資料によれば、第4四半期の売上高は会社予想で約75億ドル(約1兆1500億円)。アナリスト予想平均は75億5000万ドルだった。同社はAIアクセラレーターの今年の売上高見通しを50億ドル超と、従来の45億ドルから上方修正したが、一部のアナリストや投資家は、より大きな伸びを期待していた。
AMDは、収益性の高いAIコンピューティング用チップ市場でエヌビディアに対する遅れを取り戻そうとしている。AMDはこうした製品から数十億ドルを稼いでおり、1年前に比べて急増しているが、エヌビディアが稼ぎ出している水準にはまだ遠く及ばない。
AMDの株価は29日のニューヨーク株式市場時間外取引で7%余り下落した。年初来では13%上昇し、通常取引は166.25ドルで取引を終えた。
AMDの7-9月期の売上高は18%増の68億2000万ドルとなり、市場予想平均の67億1000万ドルを上回った。1株利益は一部項目を除いたベースで92セントに増加し、市場予想と同水準だった。
エヌビディア製チップと競合するAMDの新しいアクセラレーター「MI300」は、同社の売上高の大きなけん引役の一つとなっているが、供給の都合で成長は妨げられている。同社も業界の大方の企業と同様、自社工場を所有しておらず、生産は台湾積体電路製造(TSMC)に委託している。
リサ・スー最高経営責任者(CEO)は決算発表後の電話会見で、AMDの成長が十分ではないとの懸念に反論。同社は生産量を増やしており、AIアクセラレータに依存する大手データセンター企業の信頼を獲得していると述べた。
同CEOはその上で、ベンダーからの供給量増加で前進しているが、それでも需要が現在の予測を上回れば、需要を満たす余裕はほとんどないとの見通しも示した。「今後もタイトな状況が続くと予想しているが、2025年にかけてかなりの成長を見込む。当社のサプライチェーン能力全体には満足している」と話した。