「粗悪品が届く」「情報が抜かれてる可能性も」と話題の中華ECサイトのTemu。テレビで広告が急増中の今、“意識すべき”現実とは?
■矛盾する消費活動 ところで、私は冒頭でSDGsがあまり売り上げに結びつかない現実を描いた。そして、激安のモデルを全面に出したTemuが躍進しているさまを紹介した。そして矛盾するようだが、10年、20年の成長を目指せば、SDGsやらコンプライアンスに努めなければならない、というのが私見だ。 これはTemuが悪しきことをやっているという意味ではない。もっと積極的に環境、人権、労働、個人情報保護などのコンプライアンスに関する開示をしてほしいと思う。
SNS上にはTemuにたいする不安を吐露する投稿が多い。人々や潜在的消費者を安心させるためにも。何が逆説的かというと、SDGsが売り上げに結びつかない理由は、そんなことを喧伝しないでも信頼してもらっている、という意味になるからだ。ことさらSDGsを叫んでも、収益が拡大するわけではないが、当然のことをしなかったら信頼が崩壊する。 その意味でも、Temuは積極的に宣伝出稿すると同時に、不安や疑問に感じている人々と積極的に広報のコミュニケーションをとったほうがいいのではないだろうか。
短期的ではなく中長期的な観点から同社も意識したほうがいいだろうし、案件に登場する芸能人や、出稿を受けるメディアも考えておきたい。
坂口 孝則 :未来調達研究所