「水平質問」→「垂直質問」で問題の核心に迫る十字カーソル質問法
■ NGな水平質問とGOODな水平質問 なお、私が生業としているコーチングでは、そのコーチがプロレベルかどうかの判断基準の一つに、「『水平質問』ができるかどうか」があります。 広げずに決め打ちで深掘りを始めると、結果としてムダが増え、いつまでも核心に迫れないからです。ヨコに広げてタテに掘る、それが問題の核心に到達する、より確かな道なのです。 参考までに、NG例とGOOD例で具体的に示してみます。 〈会話例〉 ・NG例 あなた:「最近、どのような経営課題をお抱えですか?」 経営者:「若手社員の育成かな~?」 あなた:「そうですか。それでは弊社の研修プログラムはいかがですか?」 経営者:「うーん」(もやもや) ・GOOD例 あなた:「最近、どのような経営課題をお抱えですか?」 経営者:「若手社員の育成かな~?」 あなた:「なるほど、他にはいかがですか?」 経営者:「資金繰りも課題だね」 あなた:「さらに他には?」 経営者:「うーん、そうだね……。新規事業の立ち上げかな」 あなた:「いま挙げていただいた3つの中で、一番重要なことは何ですか?」 経営者:「新規事業の立ち上げですね」 あなた:「新規事業とは、具体的にどんな内容なんですか?」 「どうして、この事業に挑戦することを決めたのですか?」 経営者:「それは~~~」 あなた:「それってつまり一言で言うと?」 (続く) 森琢也(もり・たくや) 株式会社クック・ビジネスラボ代表取締役。中小企業診断士 2007年明治大学商学部卒後、トヨタグループの大手自動車部品会社(デンソー)に入社。配属された経営企画部署では、製造現場でのトヨタ生産方式の浸透、グループ会社支援など数千億円ビジネスの全体像を学ぶ。事業企画に異動後は、採算改善プロジェクトのリーダーとして、世界5拠点で生産する新製品の採算V字回復などに携わる。 約10年の勤務後、リクルートマネジメントソリューションズに転職し、研修講師の採用・育成を担当。トヨタグループでの経験を活かして、コストと工数を大幅に削減しつつ、3年間で延べ8000人を超える40代以上ハイクラス人材を選考した。 2020年に独立後は経営コンサル事業にて、中小企業向け事業計画作成・実行支援を行い、補助金獲得総額5億円超、採択率90%以上を達成。また、研修事業では、大企業からの直接受注を中心に累計100社以上、参加者数6000人以上に研修を実施。複数の仕事(事業)を同時に取り組んできた経験も踏まえ、組織や個人の仕事の生産性向上を支援している。
森 琢也