センバツ2022 2回戦 高知らしさ貫く 最後まで諦めず 応援席から拍手 /高知
第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)第7日の25日、高知は国学院久我山(東京)との2回戦に臨み、3―6で敗れた。初回に2点を先取されるなど厳しい展開が続いたものの、最終回まで決して諦める姿を見せなかった選手たち。応援席からは惜しみのない拍手が送られ、選手たちは堂々と球場を去っていった。【小宅洋介】 先発は、1回戦の東洋大姫路(兵庫)戦と同じくエースナンバーを背負う山下。だが初回、相手打者に甘く入った球を捉えられ、2点を先取される展開に。三回に高橋友の犠飛で1点を返すも、その後は相手投手の好投に阻まれ、なかなか打線がつながらない。五回、八回にもそれぞれ相手の追加点を許し、厳しい展開が続いた。ベンチ入りする日野のクラブチーム時代の後輩で、大阪から応援に駆けつけたという小林隆之進さん(15)は、「頑張って相手に食らいついている。最後に逆転してほしい」とグラウンドを見つめた。 八回の攻撃から、打線に「高知らしさ」が現れた。小西と高橋友の連続レフト前安打などで1死一、二塁の好機を作ると、打席に立ったのは5番・西野。力強いスイングでレフト前へ打球を運び、二走が生還した。この日チーム初めてのタイムリーヒットにスタンドは大盛り上がり。父親の和則さんは「もっと早いうちに決めないと。(四国大会県予選の)土佐戦を思い出して」と、最終回で逆転した試合の再現に期待をかけた。 諦めない――。勢いはそのままに、2―6で迎えた九回。門野の二塁打や三谷のセンター前ヒットなどで満塁の好機を作ると、高橋友の犠飛でさらに1点を返し、スタンドの盛り上がりは最高潮に。なおも2死一、二塁の好機で打席に立ったのは4番・川竹。「ランナーを還すんだ」。強い気持ちで打席に立ちバットを振ったが、大きく跳ね上がった打球は相手捕手のグラブへ。試合終了のサイレンが鳴り響いた。 試合後、川竹は「決めきれなかった自分が悔しい。夏までに真の4番になって帰ってくる」とリベンジを誓った。おのおのの課題を見つけた選手たちは、再びの甲子園を目指して努力を続けていく。 ◇チームファースト、打席でも 谷崎陽主将(3年) 「少しでもチームに勢いをつけたい」。二回2死一塁の場面で打席に立った。これまでと同じように、考えていたのは自分のことではなくチームのことだった。 複数の選手が代わる代わる務める「日替わり主将」制度を経て、主将に就任した。浜口監督が「チームファーストの気持ちを持っている。(中心選手も)谷崎が頼りになっている」と評価するほどのリーダーシップを発揮。チームメートの信頼も厚い。 ただ、不振だった時期もあり「自分が試合に出て大丈夫なのか」と悩むこともあった。そんな時に、「センターはお前しかいない」と仲間たちが度々励ましてくれたことが忘れられないという。 期待に応えようと、練習に決して手を抜かずにチームを引っ張る姿は「谷崎イズム」(浜口監督)とまで呼ばれた。四国大会後は、メンバー入りできなかった部員一人一人にメッセージを送ったという。チームへの温かな気配りに対して、選手たちも常に結果で応えてきた。 この日は1安打を放ち、無失策。外野から誰よりも声を出すことでチームを支えた。ただ、守備の乱れから相手に得点を与えてしまったことには悔いが残る。「全員がおのおのの役割をこなせば、もっと良いチームになっていく」。その目は既に「夏」を見据えていた。