余分なものを買わない! 70代の著者が教える、物欲との上手な付き合い方【初めての“老い”を上手に生きる】
無理なく、ものを減らす!
「老人生活」最後にして最大のテーマは、これからものを増やさないこと。 心得は三つです。 〇一つ買ったら、一つ処分する 〇買うときは何に使うか、どこにしまうかを考える 〇欲しいからではなく、今の生活スタイルに合うかどうか 幾つになっても何か買うことで、精神が安定することもあるようです。 “孤独感がいっぱいで、ものを買うことで癒される”とテレビショッピングでの顧客は高齢者が多いとか。 とくに、今すぐならお得! などと時間制限のついた買い物は要注意です。 ものを買うことで寂しさが癒されても、一時的なこと。 繰り返される寂しさに、ついまた買ってしまうという悪循環で、ものが増え続ける。 そんなとき、その場ですぐ買わず、いったん保留にして数日置く。 店での買い物も同じ、買いたい衝動に駆られたら、いったんその場を離れ、お茶でも飲む。 それでも欲しいと思うなら、帰宅して冷却期間を置くことです。 私の経験でも、あれほど欲しかったもののほとんどが、“買わずによかった!”に変身します。 食料品の買い出しは、必ず、お茶とせんべいかクッキーを口に入れてから出かけることが鉄則。空腹なら、余分な食料をあれもこれも余分に買いたくなる。 これはドイツも日本も共通のおばあちゃんの知恵です。 最近、中国でも物価高で、その節約術に、余分なものを買うので、“買い物は空腹では出かけない”とわざわざテレビで実演までしていたのには、“日本の誰かの本に書いてあったなあ”と笑ってしまいました。 どんな家に住むにしても、ものが整理整頓され、掃除がしやすいこと。 清潔で快適な住空間は、年齢に関係なく大切なことです。 引っ越しをするにしろ、今の家に住み続けるにしろ、まずは計画的に、無理なく、少しずつ片づけましょう。 家中くまなくチェックし、不用品をすべて“退治する”には、かなりの勇気とそれなりの覚悟が必要です。 “もったいない”“思い出がある”“いつか使えるかも”などの邪念が生まれ、必要でないものほど、それなりのこだわりがあるので厄介です。 ものにこだわる人には、執着心が邪魔になり、なかなか勇気の一歩が踏み出せません。 “必要なものしか”置いていない森の山荘は、減らすものがなく、快適です。 “人は家に支配されている”というソローの言葉は、“なるほど”と思いながら、でも、ガラクタに囲まれた都会の家に戻ると、ものが“そこそこ”あったほうが、便利で安心感に包まれるのも事実です。 まず、“家に所有されず、支配されない”ためには、住む家のスペースにものの数を合わせ、今の住まいを整理整頓することから始めるのがおすすめです。 初めての“老い”を上手に生きる 著/沖幸子 笠間書院 1,760円(税込) 沖 幸子(おき・さちこ) 兵庫県生まれ。生活経済評論家。家事サポートサービス「フラオ グルッペ」代表。大学客員教授(起業論)や経済産業省、厚生労働省などの政府審議会委員も務める。 神戸大学卒業後、ANA、洗剤メーカーを経て、ドイツ、イギリス、オランダで生活マーケティングを学び、グローバルな視点を持つ暮らしのデザイナー・女性起業家として、メディアで活躍。「掃除界のカリスマ」として知られ、家 事や暮らしが楽しくなる数々のエッセイや評論を執筆している。 著書は、『ドイツ流 掃除の賢人』(光文社)、『50 過ぎたら、ものは引き算、心は足し算』(祥伝社)、『60 からは 喜びはかけ算 悲しみは割り算』(世界文化社)、『70 過ぎたら あるがまま、上手に暮らす』(祥伝社)など多数。
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