老後資金、「年金」だけに依存するとあぶない?
可能であれば勤務を続ける
現在は多くが65歳定年となっているようですが、身分が嘱託などに変わり給与が下がったとしても、勤務をすれば一定の収入は確保できます。収入を得るための手段と割り切ることが大切です。いままで勤めていた企業に継続して残れる制度があれば、これも重要な選択肢になります。自分の部下だった人間の下で働くのは嫌だ、といった不満は封印すべきです。また給与が下がったとしてもそれを受け入れ、過去の栄光を捨て自分の能力を過大評価しない姿勢が求められます。 また、自分のこれまで培ってきたキャリアを生かし転職も選択肢になります。ここ数年は人手不足が深刻なため、これまでのキャリアを生かした就職先はかなりあると思います。同じ企業で働くことで、これまでのしがらみから逃げられないと思う場合は、転職により新たな職場を見つけ、気持ちよく仕事ができるかもしれません。場合によっては、厚生年金に加入することも可能になります。そうなれば、就労の延長と年金受給の増額という双方を享受できます。
年金受給の繰り下げを行う
65歳になれば受給できる老齢年金をすぐには受給せずに、将来を見据えた繰下げ受給も1つの選択肢になります。とくに定年退職後、なんらかの仕事に就き収入が得られる場合、例え5年間であっても繰下げ受給を選択すれば、65歳受給に比べ多くの年金額を得ることができます。 金融資産などの保有が十分でない方は、少なくとも再就職により収入を得られるならば、年金をすぐに受給せずに「繰下げ受給」を選択することをおすすめします。多少お小遣いが増える、旅行や外食などに使える、と考え年金をすぐに受け取ることは控えたほうがよさそうです。 年金の受取金額は、受給を1ヶ月遅らせるとごとに0.7%増える計算です。5年受給を遅らせることにより、年金の受取額は、通常に比べ42%増になります。これはかなりの収入増です。再就職先で雇用関係が解消した時点で、年金受給を開始することで、老後の生活も少しは楽になるはずです。 また、国民年金だけに加入されている自営業者やフリーターの方には、独自に積立ができる「国民年金基金」という仕組みがあり、NISAの活用と平行して利用することで老後資金を増額することもできます。以上のような選択肢のなかから、自分に合った制度の活用も検討してみましょう。 執筆者:黒木達也 経済ジャーナリスト 監修:中嶋正廣 行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。
ファイナンシャルフィールド編集部