老後資金、「年金」だけに依存するとあぶない?
このところ物価上昇が続いており、年金収入を中心に暮らしている方にとっては厳しい環境が続いています。これまでの日本はデフレ基調が続き、とくに消費者物価なども安定的に推移してきました。しかし最近では大きく環境変わりつつあります。特に高齢者に求められる対応策はあるでしょうか。
公的年金は最低限の生活資金
私たちの受け取れる年金は、少なくとも65歳から、そして終身受け取ることができる生活資金です。会社員や公務員が加入する厚生年金は、自営業や専業主婦(夫)が加入する国民年金よりは多くの金額を受給できます。年間の受取金額も、厚生年金で350万円、国民年金(基礎年金)で75万円前後が一般的な水準です。 生活費が食費だけの場合は、厚生年金の金額で生活できるかもしれませんが、家賃などの住居費、病気やけがの際に支払う医療費、お付き合いに必要な交際費などが、まったくなくなるわけではありません。介護保険料や健康保険料も、多くの場合は天引きされています。国民年金の受給だけの方は、さらに厳しいことになります。 そのため高齢になる前に、年金収入だけに頼らない生活設計ができるかがポイントになります。年金以外に収入や貯蓄を増やしておく努力が必要になります。特に現役時代の消費生活を定年後もそのまま継続していると、多少の収入があっても、「老後破綻」を迎えることになるかもしれません。
退職後を見据え金融資産を保有
会社員の方は、定年退職する時点で、多少の預貯金や有価証券などの金融資産を保有することができれば、老後の生活資金として利用できます。例えば、退職時点で、できる限り住宅ローンなどは完済しておくことが望まれます。退職金でローンなどを完済し、残った分は老後資金として確保しましょう。どのくらい老後に向けた金融資産の保有が求められるかは、その方のライフスタイルによっても異なると思います。さらに定期収入がどのくらいあるかも問題になりますが、少なくとも1000万円から2000万円の金融資産があれば、老後の生活ができるかもしれません。 最近では、少額投資非課税制度(NISA)や個人向け確定拠出年金(iDeCo)といった、現役時代から税制優遇を受け個人の資産形成を支援する仕組みもいくつか導入されています。定年退職を迎え、「さあどうする?」と考えるのではなく、比較的収入が安定している時期に、老後資金の準備をすることが求められます。 また無理のない範囲で賃貸不動産などを所有していれば、退職後も一定の金額が入ってくるため、老後の資金としては役立ちます。ただし、どのような物件を所有するかは慎重に選ぶ必要があります。価格の安い賃貸アパートに飛びつき購入したとしても、入居者が入らず老後資金に寄与するどころか、維持費がかかり収支が赤字になっては元も子もありません。また不動産購入のための大型ローンを組むことも控えるべきでしょう。