「アンガーマネジメント」よりも大切なこと、「怒りの感情」は“発想の転換”で根本から抑えるべき
動物は生命維持や種の保存のためにのみ怒りの感情で戦うが、人間には高等な脳があり、それ以外のさまざまな理由で怒りの感情を有して攻撃をする。利益をめぐってだったり、宗教上の対立であったり、領土の問題であったり、過去を根に持つことであったり、などなどだ。 人間はやっかいな生き物だ。個人でいえば、世界中、国中、街中、組織中で、怒りで争っている。それにより、たくさんのものを失っているのだ。友情だったり、信頼だったり、信用だったり、家族だったり、職だったり、を失い、人生を台無しにしている人が残念なことに少なくない。
このネガティブなよくない感情の海の中にいて、それをどうマネジメントして、この怒りの原因にどう対処するのか、どうやってこの海を泳ぐのか、この「不機嫌の海」をなくすのか。こうしたことにもがいていることでさらに疲れる。 もしかすると、「不機嫌の海」での泳ぎ方を体得する練習ばかりをしているうちに、怒りの中にしかいられなくなり、ときに大きな怒りの嵐がやってきて荒れた海で溺れて沈んでしまうことにもなりかねないだろう。
「不機嫌の海」での泳ぎ方ではなく、「機嫌がいい」の「ごきげん大地」での生き方を習得していったほうがいいのではないかと思う(下図)。 ※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください もちろん、人は弱いし、生き物としての仕組み上、致し方なく「不機嫌の海」に飛び込むこともある。がしかし、「ごきげん大地」で強く生きることをしっかり学んで生きていったほうがクレバーではないだろうか。わたしはそう考えて、「機嫌がいい」を自らマネジメントできるスキルをみんなに伝えている。
■アスリートにとっても不可欠な「ごきげん大地」 しかし、かくいうわたしも慶應病院で内科医として忙しく働いているときはすぐに怒っていた。看護師さんたちをやり込めていたことすらある。その後、メンタルトレーニングに出会い、「フロー理論」(*自分らしいパフォーマンスがインプットやアウトプットされているときは、みな同じ心の状態にあるという考え)に出会い、「ごきげんマネジメント」の理論を自分で確立し、身につけていくようになって、そんなことはいっさいなくなった。