島暮らしの豊かさ考える 沖永良部島 「コミュニティー」テーマにフォーラム
鹿児島県沖永良部島の地域塾「酔庵塾」主催の第5回島暮らしデザインフォーラムが10日、知名町フローラル館であった。島内外から60人が参加。「コミュニティー」をテーマに、講演やワークショップ、パネルディスカッションなどを通して、豊かなコミュニティーを維持した地域づくりについて議論。「自分たちが楽しむことが大事」「できることをできる人がやる」などさまざまな意見が出された。 酔庵塾は知名町在住の東北大学名誉教授、石田秀輝さん主宰。2014年から月1回の定例会を続け、年1回のシンポジウムやフォーラムを開いている。 初めに石田さんが基調講演した。生物多様性の減少、気候変動など地球環境問題の危機的状況を訴え、「自然の修復能力以下で暮らすという意識に変えていくことが大事」と強調。沖永良部島民の多くが低環境負荷の暮らしをしている調査データを示し、「豊かな自然と強固なコミュニティーが創り上げた結果。未来の子どもたちに手渡すためにどうするのか」と呼び掛け、議論を促した。 続いて講演した東シナ海の小さな島ブランド代表の山下賢太さんは、上甑島を拠点に豆腐屋や空き家再生、宿泊業など各種事業を興し、地域活性化につなげている経験を語った。知名町住吉字(集落)顧問の外山利章さん、ボランティア団体「あしまなの木」の松瀬珠美さんがそれぞれ事例発表した後、ワークショップで議論を深めた。 最後は外山さんを進行役に、地元高校生2人を含む6人がパネルディスカッション。「コミュニティーを維持していくためには」との問いに、松瀬さんは「ベースは自分が楽しむこと」、山下さんは「1人でやろうとすると難しいが、やることを分解すると自分にできることがある」などと意見を述べた。 課題とされるコミュニティー活動の世代間継承について意見を求められた沖永良部高校1年の生徒は「小学生の時から海洋の問題に興味を持ち、ビーチクリーンをしている。将来も自然環境豊かな島が残ってほしいので、自分がそういう活動に参加し、貢献できるようにしたい」と意欲を語った。
奄美の南海日日新聞