FRB議長、トランプ氏に求められても「辞任せず」 法の存在強調
Michael S. Derby [7日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は7日、トランプ次期大統領から求められても辞任しないと言明した。 0.25%ポイントの利下げを決定した米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、求められれば辞任するかとの質問に対し、パウエル議長は「ノー」と応じた。任期満了前の解任は「法律で認められていない」とも述べた。 FOMCに先立ち、CNNはトランプ氏の顧問の情報として、トランプ氏は就任後、パウエル議長が2026年5月の任期満了まで同職にとどまることを認める公算が大きいと報じていた。 トランプ氏は1期目の大統領在任中にパウエル氏をFRB議長に指名したものの、その後関係は悪化し、「失望した」とも述べていた。 パウエル議長はまた、トランプ氏が勝利した米大統領選について、「短期的には選挙戦の結果はFRBの政策決定に影響を及ぼさない」と述べた。 トランプ氏の政策が財政赤字を拡大しインフレ圧力を高める可能性があるものの、パウエル議長は将来の政府がどのような政策を選択するかについて、「推測も憶測も、想定もしない」と述べた。 <後任候補を検討か> CNNはまた、トランプ氏がパウエル議長の後任候補として、現在はFRBを批判しているケビン・ウォーシュ元FRB理事と、ケビン・ハセット元経済諮問委員会(CEA)委員長のどちらかを検討していると報じた。 FRB高官は政治的圧力や任期中の解任から守られるよう法律で定められた役割を担っている。 FRB議長を追放しようとする試みは、たとえ失敗に終わったとしても、金融市場から非常に否定的に受け止められる。 また、トランプ氏が好むと公言する政策(高水準で広範囲の関税、不法移民の大規模な強制送還)は、FRBが抑制に成功してきたインフレの火を再燃させる公算が大きい。 もしトランプ氏の政策がこのような現実を生み出せば、FRBは金利を想定通りに引き下げることができなくなり、利上げを余儀なくされる可能性さえある。FRBとトランプ氏は衝突に向かうかもしれない。 しかし今のところ、FRBには息を継ぐ間がある。コメリカ銀行のチーフエコノミスト、ビル・アダムス氏は「トランプ次期大統領はFRBに対し、1期目の時のように積極的な利下げを行うよう圧力をかける可能性が高いが、ホワイトハウスからの圧力を遮断する仕組みになっているため、少なくとも今後1年間は金利の軌道にほとんど影響はないだろう」と語った。