日銀の年内利上げ予想が8割占める、最多10月は4割に増加-サーベイ
T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは円安進行を踏まえ、輸入物価の上昇が基調的な物価上昇率に近い「第二の力」に作用した面は記憶に新しいと指摘。再び輸入物価上昇を価格転嫁する「第一の力」が強まれば、「日銀は動かざるを得ないだろう。早めに金利を引き上げる可能性も視野に入れておきたい」と語った。
物価上振れ
4月25、26日の会合は、3月に大きな政策変更をしたばかりであり、ほぼ全員が金融政策の現状維持を予想している。もっとも、植田総裁が物価見通しの上振れや上振れリスクの高まりは「政策変更の理由になる」と説明している中で、同会合で議論される新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)が今後の政策運営を占う観点で注目を集めている。
大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、2026年度まで見通し期間が延びる今回の展望リポートでは「足元の成長率は下方修正、基調的な物価では2%程度が続く見通しが見込まれる」と指摘。その上で「今後は、この数字に確度が高まっていくかの点検が続くことになろう」との見方を示す。
調査では、76%のエコノミストが、今回の展望リポートにおける物価見通しのリスクバランスの判断が従来よりも重要になると回答した。1月の前回リポートでは、「おおむね上下にバラン スしている」となっていた。
UBS証券の足立正道チーフエコノミストによると、今会合は3月の政策正常化開始を裏付ける経済・物価見通しを示す機会になる。このため、物価見通しは「2%のインフレが3年間続く見通しとなるはずだ」としつつ、「それでも、下振れリスクや不確実性が強調されて政策変更はない」とみている。
事情に詳しい複数の関係者によると、日銀は好調な今年の賃上げなどを踏まえ、24年度の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)見通しを従来の前年比2.4%上昇から引き上げることを検討する可能性が高い。日銀が2%の物価安定目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断している中で、26年度は2%程度が見込まれるという。