“フードロス失くせ” 家庭のカップ麺や缶詰など持ち寄る 長野県庁
食品ロスをなくす運動を呼び掛けている長野県が8日から2日間、家庭にある食品を集める「フードドライブ」を県庁で開き、県職員らが缶詰や米などを持ち寄りました。市町村などの取り組みに呼応し、県の開催は初めて。併せて長野県は宴会料理などを残さず食べる運動も展開しており、宴会シーズンの年末に県内には「もったいない」「フードドライブへ」の声が広がりそうです。 【写真】SNSが提起した「コンビニ恵方巻の大量廃棄」 食品ロスはどれだけか?
「フードドライブ」とは?
フードドライブは、家庭にある余った食品を職場、学校、イベント会場などに集めてNPOなどが運用する「フードバンク」を通じ、福祉施設や食事に困っている人、こども食堂、一人親家庭などで役立ててもらう活動。アメリカで50年ほど前から始まりました。「ドライブ」とはこの場合、目的を達成するための運動やキャンペーンという意味になります。 初日の8日、「県庁オフィス・フードドライブ」と銘打って長野市の県庁1階ホールに受付テーブルや食品の仕分け箱を用意。早速、県職員や市民らがカップ麺や缶詰、米などを持ち込んでいました。中には県職員による新米30キロの大型寄付も。 フードドライブの約束事は、(1)寄付する食品は缶詰、カップ麺、レトルト食品、菓子、米などの常温保存できるもの、(2)賞味期限が明記され、期限が1か月以上あるもの、(3)未開封で、包装や外装が破損していないもの、(4)生鮮食品以外の常温保存できるもの――などで、米の場合は「古米」までとしています。
「ロス」になる前に寄付を
県によると、まだ食べられるのに廃棄される食品「食品ロス」は全国で年間632万トンに上り、一方で日本の食料自給率はわずか39%(農水省・2015年度)。国外からの大量輸入と国内での大量廃棄という大きな矛盾が生じています。 「食品ロスになる前に寄付してください」という呼び掛けは長野市、松本市、上田市など県内の自治体の取り組みに歩調を合わせたもので、長野県資源環境推進課の丸山良雄課長は「行政に限らず、地域の皆さんの取り組みが広がればいいですね」と話しています。 一方で、年末の宴会シーズンに向け、宴会料理の「たべきり」を呼び掛ける長野県の「残さず食べよう!30・10(さんまる・いちまる)運動」。宴会の最初の30分間と最後の10分間は自分の席に着いて料理を楽しみ、食べ残しを減らそうという運動です。長野県は宴会の多い年末年始と7月から9月までを重点的にPR期間としています。
----------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説