福島・柳津伝統食、観光目玉に 「にしん汁」「くじらそうめん」古民家で提供へ
柳津町は、地域に残る多彩な伝統食を核とした文化観光の町づくりを進める。町内で確認された100種類以上の伝統食を「文化財」と位置付け、各集落の古民家で観光客に提供するなど、観光の新たな目玉にしたい考えだ。 観光庁の「地域・日本の新たなレガシー形成事業」の採択を受けた取り組み。事業は国内外から旅行者を引き付け、継続的な来訪や消費額の向上につながるレガシー(遺産)となる観光資源の形成が目的で、東北で採択を受けたのは柳津町と青森県弘前市のみ。 町には奥会津に伝わる保存食をはじめとした伝統食が数多く残る。文化財としての利活用を進めるため、昨年までの2年間で調査したところ、111種類の伝統食が確認されたという。 また町内48の集落で、食文化に大きな違いがあることも判明。かつて11~3月の雪深い季節は保存食のみで生活していたとされるだけに「にしん汁」「くじらそうめん」など4~10月に収穫された山菜と新潟方面からの海の幸を組み合わせた料理が多く、種類の多彩さは全国でも珍しいという。 伝統的な食文化や集落間での違いを観光客に楽しんでもらうため、古民家や寺社仏閣を活用した文化観光を考案、同事業に採択された。各集落の古民家で地域の伝統食を提供し、集落間を巡ってもらうため、現在は活用できる建物の調査を進めている。この取り組みを進めることで、町民にも伝統食を地域の誇りにしてもらい、伝統文化を守る機運の醸成にもつなげたい考え。 小林功町長は「3年程度の期間で実証実験を重ねて事業に結び付けようと進めている。歴史的風致維持向上計画と両輪で進めていきたい」としている。
福島民友新聞