理系大学院生のお天気キャスター 入学前は「理系色」の強さになじめるか不安だった
気象予報士の井澤咲乃(さきの)さん(23)は、2023年3月に早稲田大学教育学部地球科学専修を卒業し、4月から東京工業大学の環境・社会理工学院 融合理工学系修士課程で学んでいます。「子どもの頃から地球や自然が好きで、気象予報士になるのが夢だった」という井澤さんは、理系の大学院生活を送りながら、お天気キャスターをしています。現在の学びや、仕事内容について聞きました。 【写真】早稲田大学の卒業式で笑顔の井澤咲乃さん
気象予報士の井澤さんは、大学院に通いながら週に3日、お天気キャスターとして活躍しています。朝4時に会社に着くと、気象庁や各気象情報サービスからの最新情報を解析し、視聴者に正確に予報を伝えるための原稿を作成。所属する株式会社ウェザーマップの先輩やテレビ局のスタッフと打ち合わせをし、朝のお天気コーナーでその日の天気予報や気象に関する情報を伝えます。 「視聴者の方がわかりやすいよう、心がけています。台風など緊急気象情報を発信する際は、安全情報や避難方法なども含め、迅速かつ正確に情報を伝えるようにしています」 小学生の頃からお天気コーナーが好きだったという井澤さん。「未来の情報を私たちに教えてくれる気象予報士に憧れていました。夢がかなってうれしい」と今の仕事にやりがいを感じています。
大学3年で気象予報士試験に合格
井澤さんは大学受験時、もともと興味があった地球や気象について学べ、気象予報士を目指せる大学を探していました。高校3年の夏に地球科学の研究室を見学し、「やりたいことができる」と感じた早稲田大学を第1志望に決め、見事合格しました。 大学1年次は、学校の授業や軽音楽サークル、カフェのアルバイトで忙しかったといいます。大学2年の春からコロナ禍の影響でオンライン授業になり、アルバイトもサークル活動もなくなってしまったので、自宅にいる時間を使って気象予報士の勉強を始めました。大学2年の夏に気象予報士の一般知識、冬に専門知識に合格。最難関の実技試験は大学3年の夏に不合格となりましたが、冬に2度目の挑戦をして突破し、念願の気象予報士になりました。 「大学1、2年で、地球科学の中でも固体地球(地質学や地球物理学)や、物理や数学の基礎を徹底して学んだことが、気象予報士の知識の基盤となりました」 気象予報士の資格試験と並行して、大学3、4年では卒業研究も進めました。気象の観測データを収集するための研究を進め、学会でポスター発表なども経験しました。多くの専門家と意見交換するうちに、「さらに専門に関する知見や教養を広げたい」と考えるようになり、文理融合で学べる東京工業大学 環境・社会理工学院 融合理工学系修士課程への進学を決めました。